「落日燃ゆ」 城山三郎 著 を読みました。

書店の棚をながめていて~タマタマ手にした本。

予備知識マッタクなし~、こんな人がいたんだ・・・と読み出す。

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・・・東京裁判におけるイワユルA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理・外相 広田弘毅。

戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと運命を共にするも、それを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった・・・。

 

「物来順応(ぶつらいじゅんのう)」 (剣や槍の勝負では、勇気に頼るもの、臆病なものは勝てない。勇気や臆病は動きの中に消しさって忘れ、勝負事のときには、勝敗ということをいっさい忘れ、何があっても何事にも動じず自然のままにいて、起こること、来るものに応じて対処すれば、勝利はみえる。)

「自ら計らわぬ」の二つを信条とする、激動の昭和前期における政治エリート、そしてサムライ。

 

戦前、戦中の政治に翻弄されつつも、戦後裁判の渦中においても泰然自若を貫き通す。

個人の優れた才能や胆力はあっただろうが、それだけではなく、広田を支えた家族愛も語られます。

淡々と語るような文体は、主人公を労わるようであり、時には冷酷に史実を伝えます。

 

先に記事にした、「内心、『日本は戦争をしたらいい』と思っているあなたへ」と併読していました。

この広田弘毅が現代日本を見たら~、どのような感想を持つのでしょうか?。

 

(昨日、9月2日は1945年に連合国側との降伏文書に調印がされた日でした。)