「成長から成熟へ―さよなら経済大国」 天野祐吉 著を読みました。

60年にわたり広告の最前線に立ち会った著者が、その内幕と功罪を語ります。

プロローグで「歪み」が語られる。

マスク人間の増殖、経済成長の維持には原発が不可欠という人々、テレビショッピングという”番組”の横行、もうじき話題になる”福袋”ブーム、リニア中央新幹線は必要?・・・等の社会の「歪み」。

大量消費社会という仕組みに組み込まれた”我々”は、便利・快適さで、その恩恵を受けた面もあるが、その仕組みが限界に達しつつあり、それがアチコチで「歪み」となって表れてきている。

ある意味、現在の経済活動否定とも取れます。特に商業者には禁断の書か?。

 

第一章に書かれた「計画的廃品化」にビックリ!。

製造現場では、かなり以前から行われているらしいが~その真偽はどうなのだろう。

電球の寿命操作や、プリンターが一定枚数以上印刷の出来なくなる仕掛け・・・。

①機能の廃品化・・・よりよい機能を持った新製品が導入されて、現在の製品が流行遅れになる。

②品質の廃品化・・・比較的短い時期やある時点で製品が壊れるか、消耗するように計画される。

③欲望の廃品化・・・品質・機能が健全な製品がスタイルその他の変化のため、心理的にそれ以  上望まれないものとして「古く」なる。

・・・とは言うものの、分かっていて”廃品化”を受け入れているのが、現代社会なのか。

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また、広告史上に残る有名なコピーやCMも紹介され、それらが流行った、その当時を懐かしく思い出したり・・・。

中にはリアルタイムでは知らないモノも数々登場です。

 

「みじかびのきゃぷりきとればすぎちょびれすぎかきすらのはっぱふみふみ」って、分かる方いらっしゃいますかね?。

 

「人間」らしくやりたいナ  トリスを飲んで「人間」らしくやりたいナ  「人間」なんだからナ

 

画像や映像より、言葉や文章が秀逸な昔~の広告にあらためてふれるとハッ!とします。

言葉と文章の強さを感じます。

 

広告を通じて大量消費社会を支えつつも、その限界と「歪み」をより強く感じていた、著者からの最後のメッセージ・・・。