「タックス・ヘイブン」 ~逃げていく税金 志賀櫻 著を読みました。

以前に読んだ、「タックス・イーター」の前作です。

Tax haven(避難港)だそうです。 Tax heaven(天国)だと思っていました。

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タックス・ヘイブンとは一般に「税金がない国や地域」、「税金がほとんどない国や地域」をさし、具体的にはケイマン諸島、バハマ、バミューダなどのカリブ海にある諸島群がそのようです。

白い砂、ヤシの木、青い海と空が拡がるリゾート地のような場所に、世界中から様々な顔を持つ「マネー」が集まるという・・・。

アジアでもシンガポールや香港、欧米においてもロンドン・シティ、ウォール・ストリートも広義のタックス・ヘイブンらしい。

また、スイス、ルクセンブルグ、ベルギー、オーストリアといった国は国ごと、タックス・ヘイブンだという。

かつての宗主国とその植民地だった歴史もあり、タックス・ヘイブン成立の背景には宗主国や各国の情報機関が関与しているらしい?スパイ小説さながらの事情も。

そういう場所に、「マネー」は集まり、顔や姿を変えてまた世界各地に散っていく。

金融危機と呼ばれる経済現象の大元は世界のどこかのタックス・ヘイブンで発生しています。

グローバル企業は租税回避することで、経済活動をさらに活発にできる反面、回避された税負担分は国内企業や国民に圧し掛かってくることになる。

そして、非合法に得られたマネーがタックス・ヘイブンを経由していく中で、資金洗浄されることも。

「税金」の避難場所としてではなく、「税金」が社会全体で有効に使われる「天国」になるには、どうすればいいのだろう?。

「タックス・イター」にあったように、税について知ることは我々の義務なのですね。

 

著者は生命が危険にさらされたスパイ小説(映画)さながらの体験を語っていますが、このように赤裸々な本書を著したことで、デリートされる危険はないのだろうか?。