天下(てんが)家康伝 上下 火坂雅志 著

新聞書評欄で紹介されていました。

久しぶりに読む歴史物で、著者の遺作になる。

文庫になってから読むか~と、ミミッチィことも思ったが早く読みたい!が優って、一気読みしました。

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本書の家康は、老獪な狸オヤジではなく、勇敢な武将でもなく、いく度も生死の境を渡り、親族や家臣の裏切りにも遭い、信長・秀吉の理不尽な扱いにも、ひたすら耐え抜いた結果、「天下統一」を果たすところで結ばれます。

 

天下は天下之人の天下にして、我一人の天下とは思うべからず、国も又、一国之人の国にして、一人の国にはあらず 『武野燭談』

我天下を治むる事は、武田信玄と石田治部少輔両人の御影にて、かようになりし 『老談記』

天我に天下の柄をあずけ給えり。政道もし邪路に変せば、天必ずこれを取り返し給うべし 『塩尻』

 

勝った者、滅びた者、すべての人間の思いが結実したのが「天下」~民が安心して暮らせる太平の世である。

 

テンポよく読み進められましたが、以前読んだことのある、「德川家康」 山岡壮八 著 からすると~、やや内容が薄いかな~?とチャベチャベ思ったり。

「德川家康」は昭和の高度経済成長期に描かれた作品です。

「天下 家康伝」は、現代の成熟社会から見る家康なのかもしれない。

凡庸でチョッと頼りなさと優しさが感じられたり・・・と、今までの仰ぎ見る家康像から、親近感を感じる家康像かな~と思ふ。