「高い城の男」フィリップ・K・ディック

IF?(もしも)の世界へ誘われて~。

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1947年、第二次世界大戦は枢軸国の勝利に終わり、アメリカ合衆国は戦勝国であるドイツと日本によって三つの国に分断され、両国の分割統治下に置かれていた・・・それから15年後の世界。

ディストピア小説?。

日本の勢力下であるアメリカ太平洋岸連邦とロッキー山脈連邦での、穏やかに見える日常が描かれています。

日本人の影響か?なぜかアメリカ人も易経で将来を占うことがとても一般的な世界。

問題が起こると筮竹(ぜいちく)を取り出し、卦(か)をみるのを想像すると滑稽でもあります。

輪タクが公共交通手段だったりと、日本とアジア各国をごちゃまぜにしたようなサンフランシスコ(アメリカ太平洋岸連邦)。

一方の支配者、第三帝国はヨーロッパとアメリカ間を45分で飛行するロケット船メッサーシュミット9Eを就航させたり、月や火星にまで開発の手を伸ばしていたりと科学万能社会で、とても対照的です。

そんな世界の隠れたベストセラー本「イナゴ身重く横たわる」には、枢軸国側が敗れた世界が描かれている。

ドイツ側では発禁本だが、日本側では規制されてはいなかった・・・やがて・・・。

 

どちらのIF?世界が正しいのか?混乱しそうになることも少々。

同著者の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」は人間VSアンドロイドの話だったが、コチラは架空世界VS現実世界。

「イナゴ身重く横たわる」・・・その通りの重々しい内容なんでしょう。

それとも「高い城の男」と、同じ内容か?。