「犯罪(Verbrechen)」 フェルディナント・フォン・シーラッハ 坂寄進一

次回の読書会課題書を読む。

「フェナー氏」「タナタ氏の茶盌(ちゃわん)」「チェロ」「ハリネズミ」「幸運」「サマータイム」

「正当防衛」「緑」「棘」「愛情」「エチオピアの男」~が収録された短編集です。

51Nssu2I+2L__SX354_BO1,204,203,200_.jpg著者は弁護士であり、どの収録作品も実際にあった犯罪をヒントにしたモノなので、とてもリアリティがあります。(事実そのままなのかも?。)

作品中の現代ドイツはリアルな格差社会。

作品には、その格差に由来する事件や犯罪が多く描かれています。

貧富差、移民・難民問題、極右・・・・。

報道等ではなかなか知りえない、欧州経済大国ドイツの抱える諸問題が「犯罪」に凝縮されている。

 

読み始めは、殺人現場のリアルな描写に辟易しましたが、巻末の「エチオピアの男」に至るころには、慣れ?もあるが気にならなくなっていた?!。

この作品は「犯罪」を締めくくるには、ハートウォーム過ぎて異質だが、あえて終わりに持って来たか!。

余韻が残ります。

また、したたかな?兄弟愛の「ハリネズミ」は好きですね~。

 

「私たちは生涯、薄氷の上で踊っているのです。氷の下は冷たく、ひとたび落ちればすぐに死んでしまいます。氷は多くの人を持ちこたえられず、割れてしまいます。私が関心を持っているのはその瞬間です。幸運に恵まれれば、何も起こらないでしょう。幸運に恵まれさえすれば」。(「序」より)