「地方暮らしの幸福と若者」 轡田竜蔵

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ななめ読みです。

近年、マスメディアや評論家などの様々な立場から「地方暮らしの幸福」について発信されている。しかし、こうした議論を真に受けてよいのだろうか?。実際に地方暮らしをする若者の現実との間にギャップは無いのだろうか?。将来展望については、地方暮らしもまた大都市と変わらずネガティブな傾向があり、現状において理想との乖離は大きい。特に、地方暮らしの幸福を存立させるうえで、最も核心的な条件である働き方の課題は大きい。人手不足が顕著であり、それを補うべくモチベーションの低い長時間労働に巻き込まれているような状況である。この問題を解決するためには若者の働くモチベーションを考え、ライフキャリアの選択肢を増やし精神的なゆとりをもって働けるような環境づくりが大切である。また、そもそも大都市や地方などの地域間で生活感覚は異なり、収入や学歴などの格差もあるが、居住地域の満足度自体には変わりはない。だから個々の人生において有意義で豊かな社会関係を築き、人生の選択肢を広げる支援と、どこでも「住めば都」となるように、地域や社会に開かれる個人的なモチベーションの多様性を認めていく必要がある。

 

我々が住んでいる北陸・金沢も地方都市だが、一区切りに「地方」と言っても様々な環境がある。

「地方」における現実の社会生活の厳しさを垣間見ることが出来たと思う。

示される事例を見ながら地域や日本全体についてよく考える必要がある。

そして、本年7月の西日本豪雨災害で、本書の調査地である安芸郡府中町では榎川が氾濫し甚大な被害が発生している。調査データには無い、その地方が抱える課題が生々しい形で現れたのか・・・。

本書に登場するデプス・インタビュー対象だった方々の安否が気になります。