「財政破綻後」危機のシナリオ分析 小林慶一郎 編者

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・・・日本の財政運営が、このまま永続できる可能性は低い。政府債務は増加を続け、人口減少は本格化する。財政破綻が起きる可能性は、ゼロではない。

破綻が起きたとき、日本に何が起きるのか。そこから、どう社会制度を立て直すのか。

政策を論じる者は、「最悪の事態」を想定することで、真の危機を回避を図る必要に迫られている。

斯界の論客が、その「後」の日本を緻密に分析する。・・・(本書カバー)

 

6月頃に書評で知って入手したものの、読み出すのが遅くなって、やっとこさ読み終えた。

「日本の財政破綻」は既定事実?で、時期~タイミングの問題であるような書き方です。

 

・・・まず財政破綻の前提条件は、国内外の市場の投資家が日本国債を買わなくなる、という事態が起きることである。

外貨建て国債の場合は、市場で国債が買われなくなると、政府は借り換えができなくなり、外貨準備が不十分なら期限がきた国債の償還ができなくなる。これは債務不履行(デフォルト)だが、日本の場合はこのようなデフォルトは起きない。円建てで発行された日本国債は、日本銀行が買い支えようと思えばいくらでも買い支えることができるからである。

いまは日銀が国債を買って貨幣供給を増やしても、国民は貨幣を退蔵する傾向が強いのでインフレにはなりにくい。しかし、景気が回復して人々がお金を使う時代になっても日銀が国債を買い続ければ貨幣が増えすぎてインフレが止まらなくなる。逆にインフレを止めようとして日銀が国債の買い入れをやめれば、(市場の投資家が国債を買わないとすると)国債価格が暴落、すなわち、名目金利が高騰する。つまり、市場の投資家が日本国債を買わなくなるとインフレ率が高騰するか、またはその両方が同時に起きるか、のいずれかになってしまう。

したがって本書における財政破綻とは、さしあたり「緩やかな(2%程度以下の)インフレ率のもとで、正常な(4%程度以下の)名目金利を維持できない状態」を指すとしておきたい。つまり、「財政破綻とはインフレ率または名目金利が高騰する状態」を指すのである。

このような意味での財政破綻は、市場参加者の国債への信頼が失われればいつでも発生しうる。国債残高が増え続け、財政収支の改善も遅々として進まない日本の現状では、市場参加者の国債への信頼が失われる確率は、年々上昇しているといえよう。・・・(P.4~5)

 

この手のハードカバー本にしては読みやすい?と思った。

具体的でわかりやすい。

 

いわゆる「ハイパーインフレ」で物価大暴騰・・・という可能性は低いようだが、財政破綻と同時に社会保障制度も破綻し、公的補助を受けている医療や福祉関係機関への影響が大きい。

医療制度の破綻・・・こちらの方がコワイ。

最近、多発している地震等の自然災害も、いつかは起きる・・・という心構えや備えはあるが、一旦、事が起きれば被害は甚大です。

同様に財政破綻も想定できて、その影響も考えられるが~実際に起きるとどうなるか?。

具体的な事前~事後の対策も示されてはいるが・・・その実現への道のりは、かなり困難では?。

 

企業拠点の海外移転の影響で法人税の徴収は減る~消費税率は30%超まで上げる必要あり!。

少子化で働き手が減ることは税負担者が減ること・・・高齢者に偏っているといわれる預貯金等に課税する動きも!。

 

とても重~い読後感ながら、落ち込んでばかりはいられない!。