「給食の歴史」 藤原辰史

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~学校で毎日のように口にしてきた給食。楽しかった人も、苦痛の時間だった人もいるはず。子どもの味覚に対する権力行使ともいえる側面と、未来へ命をつなぎ新しい教育を模索する側面。給食は、明暗が交錯する「舞台」である。貧困、災害、運動、教育、世界という五つの視覚から知られざる歴史に迫り、今後の可能性を探る。~(本書カバー)

 

実は、給食は国策とも結び付いていて、児童生徒の体育向上=兵士育成の要素があったことも。

また、戦後の食料難から子どもたちを救うため、アメリカからの人道的支援~その背後には小麦・乳製品に親しませることで将来の市場を作るためでも?あった。

他に、災害時の食料供給元としての給食センターの存在意義。

同じ時間に教師も生徒も同じものを食べることで、協力し合って配膳、一体感を得る、偏食改善、食材の地産地消~という教育的配慮も。

 

・・・本書に、度々登場した言葉が気になりました。

「スティグマ」⇒ 他者や社会集団によって個人に押し付けられた負の表象・烙印。

欠食児童~という死語と思われていた言葉が、未だに存在する現状の救世主が「給食」。

スティグマを避けるためにも「給食」は「救食」として供される。

 

鯨竜田揚げ、コッペパン、牛乳、アルマイト食器・・・昭和ノスタルジーで語られることの多い給食には、実はとても深い真相が含まれていたのでした。