「世界まちかど地政学NEXT」 藻谷浩介

・・・考えてみれば日本は、経済の発展した、治安がたいへん良い、民族や宗教の衝突がない、海に囲まれ言語も統一され「国とは何か」というようなことについて考える必要もない場所です。ですがそれゆえに、日本の中だけでものを考えていると、世界の国々が何に悩んでおり、どうしようとしているのかがわからなくなってしまうように思えます。・・・(まえがき)

久しぶりの藻谷本!です。

著者が訪問した国々で経験し感じたことを綴った紀行文でもありながら、その視点は鋭く政治・経済・民族・宗教・移民等の本質を突いている。

 

・・・旧ユーゴ。ナチスドイツの侵略を不屈のゲリラ戦によりはねのけ、「六つの共和国、五つの民族、四つの言語、三つの宗教。二つの文字を持つ、一つの国家」として独立しながら、半世紀ももたずに、解体するソ連の後を追うように自壊した国。・・・(P.116)

 

現在はクロアチア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、スロベニア、北マケドニアの6ヵ国に加えて?10年ほど前にセルビアからの独立を果たしたコソボォがあります。

これも本書を見て、あらためて場所を知った態なのですが。

名前は聞いたことはあるが、何処なのか?どんな国なのか?。

紛争や内乱が起きていたようだが、遥か遠くの知らない国の出来事・・・。

冒頭にもあるように日本にいたら、考えられない状況だと思います。

うまく話し合っていくことはできなかったのか?・・・できないから、現在の状況。

 

将来に亘る閉塞感がいわれる「日本」だが、全世界から見れば、まだまだ希望溢れる国なのだ!と勇気づけられました。

 

足元のリアルな世界の現状を知るためにも、また、一人旅用の実用ガイド書としてもおススメです。