「重巡摩耶」元乗組員が綴る栄光の軌跡 池田 清 著

以前に読んだ「歴史の中の日本」で、著者が後世への義務~ということで、本書を紹介していました。

ちなみに「おろしや国酔夢譚」も紹介されていました。

 

・・・主力艦数が制限されたワシントン会議以降、世界の海軍国は補助艦建造に力を入れた。厳しい条件下で日本海軍が造り出したのは、戦艦に劣らぬ装備をもつ条約型巡洋艦。その最後の建造艦が「摩耶」であった。・・・(本書カバー)

「摩耶」の建造から進水~艦内の様子、太平洋戦争当初の華々しい活躍・・・やがて昭和19年10月23日午前6時59分、フィリピン・パラワン水道南口で米潜水艦デースの雷撃を受けて沈没するまでが生々しく描かれています。

 

本書の最初、序に代えて~でドキリ!衝撃を受けました。

元乗組員である著者にしか言えない、表現できない追悼の言葉に。

興味本位で読むことに躊躇を感じます。

また巻末に「摩耶」乗組員の出身地ごとの戦没者名簿が載っています。

これを見ていると75年前の戦争がまざまざと眼前に迫って来る・・・。

大事な歴史であり、事実であったという当たり前のことが。

 

「大和」「武蔵」・・・といった有名艦ばかりではなく、「摩耶」のような巡洋艦や駆逐艦、潜水艦にも、そして軍艦ではないが徴用された民間船舶にも同様な「事実」があった・・・。

 

 

みんなみの海の色見ゆ 勇士らの青春を呑みし蒼き波見ゆ   池田 清