「美しき愚かものたちのタブロー」 原田マハ

「いつか日本に美術館を創る」絵画収集に目覚めた実業家 松方幸次郎

「全力で守ります」戦時下のパリに美術品と残された部下 日置釭三郎

「松方さんの夢を叶えたい」志を知り共に名画を探す美術史家 田代雄一

「取り返そうじゃないか、この国に」日仏の返還交渉に臨む首相 吉田 茂

(~本書帯)

 

本年9月23日まで「国立西洋美術館」にて特別展として開催されている「松方コレクション展」~その美術品を巡る物語・・・(史実に基づくフィクション)です。

 

クロード・モネ「睡蓮」を始め~数々の名画が登場します。

そのたびにネット画像検索・・・あッ・・・この絵は見たことがある。

画廊や美術館で、登場する絵画を前にたたずむ自分を想像します。

美術品を私物化するのではなく、日本の若者に「本物の美術品」を見せるために収集する・・・かつては、こんな豪気な人物がいたのですね。

今でもいるか?。

 

・・・「コウジロウ。あなたは二言目には『絵のことはわからない』とおっしゃいますが、いい絵かどうか、たとえわからなくても、あなたは感じているのですよ。つまり『頭』ではなく『心』で見ているのです。それはコレクターとしてとても大切なことであると私は思います」・・・(P.294)

 

読みながら~購入可能な絵なんて一枚もないのにも関わらず、気分は希代のコレクター・・・となっています。

 

もっと早く本書に出会っていたら・・・「松方コレクション展」・・・見たかった。

見たらトリハダ立つだろうな・・・。

本書に登場する数々の絵画のように~美しい小説でした。