「怪獣生物学入門」倉谷 滋

・・・ゴジラ、ガメラ、マタンゴ、ドゴラ、『寄生獣』のパラサイトなどなど、怪獣たちは日本のSFを牽引し、最近では海外での評価も高まっている。

その一方で、怪獣たちは荒唐無稽な作り物のように思われてはいないか。

怪獣とはどのような生物なのか?その形態や劇中の設定、登場人物たちの台詞などを手がかりに、生物学的な視点で徹底的に考察していく。そこから見えてきたのは、科学とSFを繋ぐ新たな発見だった。・・・(本書カバー)

 

日本の最高知性が集まる理化学研究所の主任研究員である著者が「怪獣愛」を本気で著したのが本書。

かなり?マニアック・・・マタンゴドゴラ?といった怪獣映画タイトルに加えて、映画に登場するサブキャラクター(怪獣・人物)にも鋭く切り込んでいます。

怪獣やキャラクターが、どのような姿形をしているのか?ネットで確かめながら読み進める~。

あ~コレは見たことある!、コレは初めて!を繰り返すのでした。

 

以前からある類似?する「空想科学読本」の世界観とも違う。

生物学・科学的にしっかりと検証しています。

 

・・・というわけで、進化というプロセスを考える限り、「大きすぎる体を持つと、自重で骨格や筋が保たず、潰れてしまう」という理屈は、怪獣が存在できない理由としては不適切と言わねばならない。むしろ、「自重で崩壊するほどのサイズや体重は、進化的には実現できない」と言うべきなのである。これが、怪獣の実在可能性にまつわる最大の困難なのである。そして、まさにその理由で現実世界に怪獣はいない。ここから再び導かれる結論がすなわち、「スケール問題の確信犯的無視こそが、怪獣映画を支えている屋台骨なのだ」、ということになる。・・・(P.138~P.139)

 

このように、何とも学術的な「開き直り?」(失礼)が展開されるのでした。

オタク~といえばそうなのだが、著者のことをそう言ってもいいものか?。

科学者を目指す原点は「怪獣」なのでした。