若きサムライのために 三島由紀夫

・・・男の生活と肉体は、危機に向って絶えず振りしぼられた弓のように緊張していなければならないー。平和ボケと現状肯定に寝そべる世相を蔑(なみ)し、ニセ文化人の「お茶漬けナショナリズム」を罵り、死を賭す覚悟なき学生運動に揺れる学園を「動物園」と皮肉る、挑発と警世の書。死の一年前に刊行された次代への遺言(メッセージ)・・・。(本書カバー)

 

「お茶漬けナショナリズム」・・・口に日本文化や日本的伝統を軽蔑しながら、お茶漬けの味とは縁の切れない、そういう中途半端な日本人はもう沢山だということであり、日本の未来の若者にのぞむことはハンバーガーをパクつきながら、日本のユニークな精神的価値をおのれの誇りとしてくれることである。(P.118)

 

現代は~ハンバーガーはパクつくが、日本の精神的価値を語ったり、誇りと感じているだろうか?。

かと言って、メディアで見かける日本スゴイ!というのは、とても浅はかな感じ。

 

三島由紀夫が本書で述べるような精神論や考え方は、現代社会でもハレモノに触れるような存在かと思われます。

自衛隊を国土防衛と海外派兵の二つの組織に分ける・・・とは、当時としてはタブーに切り込むスゴイ意見。

その後の経緯をみると先見性があったのかもしれません。

かくいう自分も精神的には、グローバリゼーション化にのみ込まれているかも・・・。(長い物には巻かれよ的~。)

 

半世紀前に危惧した社会を未来を~、もし現在社会を三島由紀夫が見たとしたら、どう評するのか?。

命に代えて訴えたことは、伝わったのか。

 

正直、読んでいて疲労感を感じた・・・甘っちょろい現代人の自分・・・。