「チョンキンマンションのボスは知っている」アングラ経済の人類学  小川さやか

・・・100%信頼できる人はいない。だからうまくいく。一攫千金を夢見て香港に集まるタンザニア人。彼らの日常は、まさか!の連続。既存の制度に期待しない人々によるセーフティネット、信用システム、シェア経済とは。可能性に満ちた社会がここにある。・・・(本書帯)

 

チョンキンマンション(重慶大厦)とは、香港の目抜き通り弥敦道(Nathan Road)にあり、2階までが商業フロアで3~17階が安宿となっている建物で、アフリカをはじめ、南アジア、中東、中南米等、世界各地から零細な交易人や難民、亡命者などが集まる~という。

あまり近づかない方がいいアングラな場所。

そこに住む(寝起きする?)自称「チョンキンマンションのボス」である、タンザニア人ビジネスマン(?)カラマと、その周辺で巻き起こる様々な出来事を描く、著者の体当たり?フィールドワークレポートです。

なかには非合法なビジネスも無いワケでは無いが・・・。

 

その日暮らしの人類学」でも述べられていたが、アフリカのビジネスマン(?)は、日本の常識から見れば、とてもアバウト~テキトー。

カラマも同様・・・だが、ビジネス(中古車ブローカー)としては成り立っているうえ、成功者(自称ボスだけに・・・)に属します。

スマホ・SNSを駆使し、これらのツール上に成り立つ、彼らのビジネス&コミュニティは、アジア~中東~アフリカををつなぐ。

スマホ・ネット社会が生み出した最先端?のインフォーマル・アングラ経済の担い手。

 

彼らは、いろんな意味でタフです。

様々な立場の人間のつながりは相互扶助も行っている。

 

現在のコロナ禍を含めた香港情勢の下では、本書に描かれたような活動は難しくなっているかもしれないが、きっと逞しく生きる術を磨いていると思われるのでした。

アフリカンおそるべし。