「よくわかる山岳信仰」 瓜生 中

・・・山には人知を超越した何者かがいるーー日本民族が太古から抱いてきた素朴な崇敬の念にこそ、山岳信仰の原点がある。宗教以前にまで遡り、原初信仰や山の民の様相、仏教や神道との習合、密教との融合による修験道の成立等をやさしく解説する。・・・(本書カバー)

 

書店で見かけてジャケ買い?(タイトル買い)しました。

以前から「出羽三山」「熊野」「吉野」「高野山」といった、どことなく~秘密めいた感じのする山々に興味ありました。

富士山も白山・立山も信仰の山。

 

民俗学~というか、仏教伝来以前の信仰~もっと遡って神道~八百万神々~記紀以前の文字が伝えない縄文時代からの原始信仰に、原点があると思われるのが山岳信仰だそうです。

山は神(≒祖霊)の降臨する神聖な場所である。

原始信仰に八百万の神々が重なり、さらに仏教をはじめとする数々の渡来宗教が重なり~明治初期の神仏分離政策を経て、今に伝わる修験道~山岳信仰に至る。

宗教は、その時々の権力と付いたり離れたり迫害されたり、国策の影響を受けています。

縄文時代から引き継がれている、最も民衆に近い信仰(宗教とも違う)が、山岳信仰なのかもしれません。

 

・・・筑波山の山麓を走るJR水戸線に乗っていたときのことである。ちょうど苗代づくりのシーズンで、各所で田に水を引いている光景が車窓から見られた。そんな中で一人の農夫が、小型耕運機の脇で帽子を片手に深々とお辞儀をしている光景があった。もちろん、お辞儀の相手は筑波山である。

私はそこに、いわゆる神道でも仏教でもない山への敬虔な姿を見出し、思わず感動を禁じ得なかった。それは神聖な山に対する、宗教以前の日本民族の最も原初的で素朴な信仰心ということができるだろう。・・・(P.19~20)

 

いい風景だなぁ~。