「漱石先生 探偵ぞなもし」 半藤一利

・・・「吾輩は猫である」「坊ちゃん」「草枕」ーーあの名作にこんな読み方があったのか!本書は、夏目漱石の義理の孫に当る著者が書いた、漱石に関する「探偵的与太話本」の決定版。今なお愛される漱石作品を、歴史探偵を自称する著者ならではの視点でユーモラスにひもとく。・・・(本書カバー)

 

未読だった著者作品を探していて~これなら読み易いかも!と手にしました。

確かに読み易いことは、そうだったのだが~明治時代という時代背景や日本文学史・漢文・中国史記が頭に入っていないと楽しめないことが、すぐに判明・・・。

「探偵的与太話」だなんて~とんでもないです。(^_^;)

この、とんでもない~の「頓(とん)」についても、「吾輩は猫である、名前はまだない。どこで生まれたか頓と検討がつかぬ」・・・と考察がありました。

「頓智(とんち)」「素っ頓狂(すっとんきょう)」「無頓着(むとんちゃく)」・・・そんなの「とんと知らねえな」と、とんまなことを言ってみたり・・・。

 

ちょうど日経朝刊に連載中の「ミチクサ先生」と重なる内容もあって、少しは理解が深まる?のでした。

 

・・・周囲の華やかさに惑わされ、無批判、無自覚のままきめられたレールの上を一直線に運ばれるばかりではなく、情報化や合理化、画一化、非人間化などによってもたらされる人間疎外や孤立化、いいかえれば、現代人が直面している不安や焦燥や幻滅の原因をさぐるヒントが、漱石先生を読むことでつかめるかもしれないのである。つまり百年以上も前に書かれた漱石文学は、現代の文学といえるのではあるまいか。・・・(P.14)

 

未読作品はモチロン、探偵目線で既読作品も読み直してみようと思います。