「伊勢物語 在原業平 恋と誠」 高樹のぶ子

・・・平安の歌人・在原業平の一代記を日本で初めて小説化した作家が、政から遠ざかり「みやび」に生きた高貴な血筋の男の人間力を、数々の女性との恋や、男たちとの垣根を超えた交誼から解き明かしていく。思うにまかせぬことをも愉しみながら生き抜いた業平の生涯は、時代の転換期を生きる私たちに多くの気づきを与えてくれる。・・・(本書カバー)

 

次回、読書会の課題本。

伊勢物語・・・在原業平・・・はるか昔に聞いたことがあるような~でも内容は、マッタク知らず。

「むかし男在りけり」と書き出される章段が多いことから、この男は在原業平だと考えられていますが、確証はないのです。(むかし男の正体)・・・ということのようです。

 

平安の時代は自由恋愛が通常態であり、件の業平は高貴な家柄で官人でもある超エリート。

したがって、何でもかんでもやりたい放題?・・・と思ってしまう。

そういう上部階層ゆえに「みやび」な対応ができるのでは。

 

・・・相手をとことん追い詰めない、早々に決着をつけない、短絡的に勝者と敗者を分けてしまわない。そのような一見曖昧にも見える振るまい、考え方、余裕のある性格を、私は「雅」と考えます。そこには、相手を思いやる「哀れ心」がある。上から下を見るときの「哀れみ」ではなく、相手も自分も、やがて消えていく身だという諦念が潜んでいるのです。・・・(P.18~19)

 

このような人ばかりだったら、争いごとなんて起きないと思うが、現実は政争に明け暮れている。

やはり業平は、特別な人物~コンジョヨシだったのですかねー。

なんだか共感(一部だが)出来る部分あります。(-_-;)

 

「世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」業平

「散ればこそいとど桜はめでたけれ うき世になにか久しかるべき」返歌(作者未詳)

絶妙なツイート&リツイート。

こういうやり取りができるなんて・・・。

 

「小説伊勢物語 業平」の補足として本書ですが、在原業平に興味を持ったので本編?も読んでみたくなりました。