「日本人と神」 佐藤弘夫

・・・なぜ日本人は、草木や山川までもが成仏できると考えるのか?なぜ「ご先祖さま」をお祀りするのか?

ふだんは当たり前のこととして、何気なく見過ごされている日常の習慣、思考パターンにも、それぞれに隠された精神の歴史がある。

日本思想史の第一人者とともに、さまざまな事象の中に「日本人の心の歴史」をたどる。・・・(本書カバー)

 

昨年、訪れた三輪山~大神神社が冒頭取り上げられており、思い出しながら~興味深く読む。

山自体がご神体(大物主大神)で信仰目的で登山ができる。

擬人化?された神々の姿を思い浮かべるが、人類が初めて人間を超える存在(カミ)を感知したのは、人知の及ばない自然現象に対してだったようです。

 

本書は、国内で太古から続く「カミ」の成り立ちを紐解いていく内容ではなく、仏教伝来から神仏習合~祖霊信仰や、戦国武将ら近代に至るまで~神になった人々まで語られている。

自然発生的に現れた「カミ」や人為的に創られた「カミ」がある。

針供養等~モノに宿る存在に対しても思いを寄せる。

日本ではないが、今だに「カミ」の名の本に戦が起こります(巻き込まれているかも)。

ゆるキャラも癒しを求める現代社会が産んだ「カミ」ということらしい。

 

生物はなぜ死ぬのか」「宗教と日本人」に続いて類似の?本書を読んで、精神世界の入口に迷い込んでいます。

特定宗教を信じる~のではなく、人知を超える「カミ」とは何か?~存在意義?を思いムタムタになっているのでした。

 

・・・人類が直面している危機を直視しながら、人類が千年単位で蓄積してきた知恵を、近代化によって失われたものをも含めて発掘していくこと、それこそがいまわたしたちに与えられている大切な課題なのではないだろうか。・・・(P.256)