月別アーカイブ: 2021年10月
貝の続く場所にて
2021年10月15日 ブログ
第165回芥川賞受賞作 「貝の続く場所にて」 石沢麻衣
・・・人気のない駅舎の陰に立って、私は半ば顔の消えた来訪者を待ち続けていた。記憶を浚って顔の像を何とか結び合わせても、それはすぐに水のように崩れてゆく。それでも、すぐに断片を集めて輪郭の内側に押し込んで、つぎはぎの肖像を作り出す。その反復は、疼く歯を舌で探る行為と似た臆病な感覚に満ちていた。・・・
物語の舞台はドイツ・大学都市ゲッティンゲン。
ようやくコロナ禍でのロックダウン明けのゲッティンゲン駅に、日本の東北地方から来た「野宮」を迎えに来ている「私」がいるのだが・・・。
列車の乗り継ぎがうまく出来なかった~と話す「野宮」の存在があまり感じられない?なぜ?。
この時点で「野宮」は幽霊!と語られているが、何かの比喩だと思い読み飛ばしていました。
メールでやり取りもしているのに。
後で本当にそうだったのだ!と理解?できるのだが・・・。
・・・幽閉された塔を手に持つ聖バルバラ。身体中に矢を突き立てたまま腕を縛られた聖セバスティアヌス。歯を挟んだ鉗子を抱えた聖アポロニア。(中略)シラクサの聖ルチアとシチリアの聖アガタ。拷問によって、ひとりは目を刳りぬかれ、もうひとりは乳房を切り取られた。絵画の中で、彼女らはつつましやかに、切り離された身体の一部を掲げる。・・・
痛そう!というか、描かれた当時の残酷さ~宗教弾圧~世相が垣間見えます。
「私」と「野宮」が、研究対象にしている宗教画の項は興味深かった~どんな絵画なのか?画像検索しながら読み進める。
遥か昔に、そのような絵画を眺めていた記憶と重ねながら・・・(何が描かれているのか?単純に興味があっただけで、それ以上深堀しなかったけど)。
「戦争」「空襲」「地震」「津波」~痛み・悲しみの記憶断片を抱え続ける意味が・・・物語の根底に流れている。
「寺田」という物理学を研究する人物が突然?現れるあたりでハッ!としました。
ヨーロッパの古都・ゲッティンゲン・・・過去と現在がクロスオーバーする記憶の集積地。
さまざまな「現在の記憶」もトリュフ犬ヘクトーの鼻で発見されるでしょう。
インフラに感謝
2021年10月13日 ブログ
先日、首都圏で発生した地震は人身被害は軽微だったようですが、交通・生活インフラ復旧にやや時間がかかっていました。
道路・線路や設備の安全確認に時間がかかるのは仕方ない。
そして上下水道被害がありました。
その以前には、和歌山市での水道橋破損も・・・。
これらの生活インフラの維持管理はとても重要。
老朽化対策・耐震対策~全国的な課題です。
オリンピック開催するよりインフラ整備を充実させれば・・・とも思っていました。(^_^;)
電気や水が何気に使えることはスゴイことです。
この当たり前に感謝。
建物や設備の日々のメンテナンスも大事。
これは人間も一緒~経年劣化は避けようがない。
無理な使い方を続ければ不調に陥る。
「スポーツの日」?
2021年10月11日 ブログ
名将名言録一日一言~10月11日
万事に用心のなきと言ふはなし 徳川家康
・・・家康の性格の特色として語られる中に、堅実さがある。この堅実さは、日々の生活では、目的に向かって努力を重ねる着実さとして表れる。そして着実に日々歩むためには、万事に心を傾け、注意を払うことが欠かせない。「あらゆることに注意深くあれ」とは、いかにも家康らしい言葉である。・・・
カレンダーでは、2021年10月11日(月)は「スポーツの日」で祝日だが・・・今年の7月23日が、その「スポーツの日」だったため、10月の「スポーツの日」は取りやめ!。
すっかり連休気分。(気分だけ、実際には休まないので~。)
直前までカレンダー通りだと思っており「あらゆることに注意深くあれ」・・・ではなかった。
特に平日になったことで、困ったこともないが~休日・連休ではなくなったことで、ガッカリする方もいるでしょうね。
これもTOKYO2020効果です。
10月10日「体育の日」でいいのになぁ。
中年の人よ
2021年10月9日 ブログ
坂村真民一日一言~10月9日 中年の人よ
中年の人よ 自己と戦え
孤独になれば 孤独と戦い
名声を得れば 名声と戦い
いつも手綱を 引き締めよ
不遇だった時を 忘れるな
貧乏だった頃を 思い出せ
つねに謙虚であれ 奢りは悪魔の誘いだと思え
リアル中年真っただ中です。
「中年」の文字は、イメージ良くない気もするが誰しも至る時がある。
ここ書かれている「中年」は、社会的安定ポジションを得ている世代というニュアンスかと思います。
合致していない面もあるが、2年前~2019年10月9日を区切りとして、新たなステージへと移った当社と我が身にとっては、一応「中年」に該当するかと思います。
もう2年~まだ2年。
あらためて「中年の人よ」を見る。
事業承継のカタチ
2021年10月7日 ブログ
食品製造業を営む方から自社を他地方の同業者へ譲渡した~と聞きました。
企業規模も大きく営業エリアも広い同業者の傘下に子会社として入ることで、原材料等の仕入れも容易になるらしい。
ご自身は自社会長職へ就き、社名や商品構成は当面の間は変化なし。
数年前から交渉を続けて話がまとまり、お互いにメリットがある、良好な関係で前向きな企業買収のようです。
何と言っても事業承継の心配がなくなった・・・と話されていました。
これが一番の理由だったとも。
「何かと言う連中もいるだろうが、スッキリして先の展望が開けたわ!。」
大事な決断をされたと思います。
傘下に入れよう~と同業他社に思ってもらえる企業内容であった~と想像します。
M&A・・・どこか遠くの話かと思っていたら、身近にありました。
企業と~愛される商品を未来につなぐ事業承継の一つのカタチ。
お寺の掲示板 諸法無我
2021年10月6日 ブログ
お寺の掲示板 諸法無我 江田智明
・・・仏教には「諸法無我」という教えがあります。これはすべてのものは、因縁によって生じたものであって実体性がないことを表しています。ですから、この世に生きている私たち一人一人も実体はなく、たまたま周りのおかげで生かされているにすぎません。
「俺が俺がの『我』を捨てて、おかげおかげの『げ』で生きよ」。この言葉に倣って、「俺が」という感覚に極力執われず、「お陰さまで生かされている」という感謝の気持ちを持って生活を送りたいものです。・・・(P.47)
「お寺の掲示板」第二弾も心に染み入ります。
極力執われず・・・の極力って言葉が、人の弱さを表しているなーと思ふ。
「ほんとうの いちばん深い闇は わかっている という 思いです」
わ、わかっとるし・・・。
言語学バーリ・トゥード
2021年10月4日 ブログ
言語学バーリ・トゥード Round1 AIは「絶対に押すなよ」を理解できるか 川添 愛
・・・ラッシャー木村の「こんばんは」に、なぜファンはズッコケたのか。ユーミンの名曲を、なぜ「恋人はサンタクロース」と勘違いしてしまうのか。日常にある言語学の話題をユーモアあふれる巧みな文章で綴る。・・・(本書帯)
「なんか変わったタイトルだな?」が新聞書評で見かけた感想です。
でも、面白そう!で読み始めたら・・・ナンジャ?こりゃあ?、本書帯のように抱腹絶倒必至!とまではいかないが、かなりツボに入りました。
マニアや、ある程度の年齢層にしか受けない?と思われるネタを相当ぶち込んできます(マニアじゃないが~オモシロい)。
かつて見たプロレス放映を思い出しながら、本書のプロレスネタにニヤニヤ。
タイトルにある「バーリ・トゥード」について、結局はハッキリとした説明もなく、読者が知っているものとして進行するスタイルも「言語学者」の仕掛ける技の術中にハマっている?。
・・・文の末尾に「・・・」、つまり三点リーダーをつける相手にムカついている人たちの声を紹介する記事を読んだ。仕事のメールとかLINEとかで「そうしていただけるとありがたいんですが・・・」とか「それでも構いませんが・・・」とか、「できれば、そうしてほしいんですけど・・・」など、語尾をぼかしたメッセージを送ってくる相手にブチ切れている人が多い、という内容だ。まあ確かにウザいが、問題があるのは三点リーダーを使うことそのものではなく、むしろ「私ははっきり言いたくないので言いませんが、あなたも社会人なんだから、私が何を言いたいか、だいたいわかりますよね?いやいや、何が何でも正しく察せとか言っているわけではないですよ?そもそもあなたの理解が正しいか間違っているかに関して、こっちは何にもいいませんからね。だって、後からこっちが責任取ることになったら面倒じゃないですか。あなたが私の言いたいことを勝手に解釈して行動して失敗したら、こっちは即座にハシゴ外しますんで、そこんとこ4649」という思考の方だろう。・・・(P.198)
「・・・」多用する我が身にドキリ!。
後で「文字越しに表情を出す」ための苦肉の策~とフォローされていますが・・・(そうなんです!)。
AIと張り合う?ための必読書?。
Round1~ということなので、Round2以降も期待します。
「読むなよ、絶対に読むなよ!」
イナゴ身重く横たわる
2021年10月3日 ブログ
月初からコロナ禍関連の規制が解除されて「今までの日常」に近い状態になりつつあるかと思います。
様々な予定が入り出してきました。
・・・しかし「新しい日常」モードに慣れてしまった?身はやや重いかもしれない。
「イナゴ身重く横たわる」・・・「高い城の男」のように山奥に引きこもっている現状ですねぇ。(グーたらモードじゃないが)
現在とは違う世界~コロナ禍が無かったら世の中はどうなっていたか?・・・IF(もしも~)の世界を想像したら・・・。
・・・社会的には、TOKYO2020大成功!経済波及効果大!インバウンドマーケティング最高潮!~か。
個人的には・・・体調管理不良・経費(冗費)過多が思い浮かびます。(^_^;)
しかし、行き過ぎの反動はいずれは出てくるでしょう。
コロナ禍が無かったとしても、経済不安・社会不安はカタチを変えてやって来たのかも・・・。