「後列のひと」無名人の戦後史 清武英利

第1章 君死に給う

第2章 新しき明日の来るを信ず

第3章 ススメ ススメ ススメ コクミン ススメ

第4章 おごりの春の片隅で

第5章 さよなら「日本株式会社」

第6章 身捨つるほどの祖国はありや

 

戦中から現在~日本を「後列」から見つめたノンフィクション集でした。(最前列だけど後列?みたいな感じも。)

各章のタイトルから、なんだか「憂国」を感じ取る・・・(現在に近づくにつれて、何かが「劣化」している?)。

 

・・・経済を動かすのはGNPであっても、日本人を動かすのはGNNなのだ。つまり、義理と人情と浪花節である。・・・(P.232)

 

組織は~社会は~世の中のすべての人たちによって、成り立ち動いているということを強く感じました。

組織に所属していなくても社会の一員には変わりない~何が欠けても社会は成り立たない

コロナ禍でクローズアップされた「エッセンシャルワーク(社会基盤を支えるうえで必要不可欠な労働)」に従事するのも「後列のひと」かと思います。

決して前面に出ることは無くても・・・藤沢周平の世界に通じるなぁ。

 

・・・最前列ではなく、後ろの列の目立たぬところで、人や組織を支える人々がいる。役所の講堂や会社の大会議室に集められたとき、たいてい後列に位置を占める人たちである。威張って壇上からモノを言う人間を、後ろの方から凝視している群衆でもある。彼らは、大きな何かを成し遂げたわけではなく、出世を遂げたというほどでもない。多くの見返りを求めないで、言葉少なに佇んでいる。・・・(本書カバー)