「悪童日記」 アゴタ・クリストフ 堀茂樹 訳

・・・戦争が激しさを増し、双子の「ぼくら」は、小さな町に住むおばあちゃんのもとへ疎開した。その日から、ぼくらの過酷な日々が始まった。人間の醜さや哀しさ、世の不条理~日々出会う非情な現実を、ぼくらは独自のルールにしたがって日記にしるす。戦争が暗い影を落とすなか、ぼくらは二人でしたたかに生き抜いていく。・・・(本書カバー)

 

ハードル高そうだなぁーと、思いつつ予備知識ゼロで読み出し、アッという間に読了・・・。

しかしながら、読後感はモヤモヤが多くスッキリしません。

・・・感情を定義する言葉は非常に漠然としている。その種の言葉の使用は避け、物象や人間や自分自身の描写、つまり事実の忠実な描写だけにとどめたほうがよい。・・・(P.43)

「ぼくら」が互いに作文(日記)を書き、評価する基準です。

そのためか?感情が感じられない、冷徹な表現が本書に満ちている。

確かに印象的な作品だとは思いますが・・・。

 

ハッキリとは書かれていないが、第二次世界大戦中のハンガリーが舞台だという。

戦時中も~戦後も、全体主義に覆われていた彼の地の実態は、このような小説から知るしかないです。

世の中全体が狂気に覆われていたためか、いくつもの衝撃的な内容もありました。

各エピソードのモデルとなった出来事もあったでしょう。

「ぼくら(人間)」が~過酷な環境下で、生き抜くためには必要なことか・・・。