「人は2000連休を与えられるとどうなるのか?」 上田啓太

・・・連休。

この二文字を見て何を感じるかで、その人の状況が分かるのかもしれない。大半の人は「よろこび」を感じるんじゃないだろうか。会社や学校に行っている人にとって連休は素晴らしいものだ。

その一方で、とくに何の感情もわかない人もいるかもしれない。日常的に通う場所のない人間は連休と言われてもピンとこない。

よく言われることだが、日々の労働があるからこそ、週末はうれしい。金曜日の夜はワクワクするし、月曜日の朝はうんざりする。3連休があれば大よろこび。盆と正月は素晴らしい。

ところで、私は過去に2000連休を体験したことがある。6年間にわたる休日だった。厳密に計算すると2190連休になるのだが、端数は切り捨てておく。この状況で細部にこだわるほどアホらしいこともない。・・・

 

著者の実体験に基づく2000連休という膨大な空白の日々を過ごした記録です。

住まいは・・・借家住まいの知人の一畳半の物置を間借りしていたという。

どんな自堕落な人物なのか?と思いきや、京都大学工学部卒で芸人を目指したりカフェのアルバイトをしたり・・・変り者?か。

しかし、元々はかなり優秀。

だからこそ緻密な記録を残し、客観的な自己分析と内観ができて書籍にもなる。

また、プロフィールに石川県出身~とあり本書中に「菊川町小学校」と出身小学校の記載があります。

近所の山沿いの霊園で肝試しをしたともあったようで(大乗寺霊園?)なんとローカルな・・・著者に親近感が湧きました。

 

・・・仕事のない解放感を味わう~将来への不安を感じはじめる~昔を思い出して鬱になる~図書館へ通って本を読む~行動を分単位で記録する~文字を読むことをやめてみる~人間のデータベースを作る~封印していた感情を書き出す~「自分」が薄れる~鏡に向かって「おまえは誰だ?」と言い続ける~自分にも他人にも現実感が持てなくなる・・・おいおい大丈夫か。

 

職場や学校へ行くことがない日々を、自虐的に「2000連休」と表現~著者だからこそ出来た2000連休でしょう。

与えられた~のではなく自らの選択でもある。

そして、連休明けへと導いた「存在」があったことも重要です(ネタバレになるか?)。