「文にあたる」 牟田都子

・・・校正者にとっては百冊のうちの一冊でも、読者にとっては人生で唯一の一冊になるかもしれない。誰かにとっては無数の本の中の一冊に過ぎないとしても、べつの誰かにとっては、かけがえのない一冊なのだ。・・・(本書帯)

 

本が出版される前のゲラ(校正刷り)を読み、内容の誤りを正し、不足している点を補う「校正」「校閲」を仕事にしている著者が綴るエッセイ。

「校正」・・・誤字脱字をチェックするだけかと思っていたら、加えて固有名詞・数字・現実・史実とゲラ内容の整合性が取れているかも細部に至るまでチェックするとのこと。

そのために少なくとも3回は読み込むようです。

それでも「落とす」ことがある・・・。

チラシやパンフレット、ネット上の記事も「校正」が必要です。

ミスが明らかになった場合、印刷物だったら回収してやり直すことも。

ネット上は即座に修正可能かもしれないが、一旦開示された以上は、記述内容の信用に関わります。

ちなみに当ブログは、自己判断・自主校正?~もともと閲覧者も少ないので、おそらく大事ないかと・・・。

 

書店などで気軽に買ったり、図書館で手に取ることのある「本」だが、その「本」段階に至るまでには、著者に意見することもある「校正」と「校正者」の存在がとても重要なのでした。

心して読まなければ(今までより更に・・・)。

 

・・・後世の残すべき本かどうかは私の決めることではない。「残す」のではなく「残る」。内容の如何にかかわらず、いま私たちのつくっている本が百年後にも形を失わないことを考えたい。選抜の必要はない。(P.231)・・・