「八十日間世界一周」ジュール・ヴェルヌ作 鈴木啓二

・・・一八七二年一〇月二日午後四五分、ロンドンの謹厳な資産家にして知識人フィリアス・フォッグ氏は、多くの新聞が一斉にとりあげ狂気の沙汰と評した、八〇日間世界一周の旅に出た。彼はトランプ仲間と、一秒でも遅れると全財産を失うことになる賭をしたのだ。・・・(本書カバー)

よくある、タイトルは知っているけど内容は?の一つで、読書会メンバーからのいただき本です。

映画音楽で有名。

主人公のフィリアス・フォッグ氏は裕福な出木杉ヒーロー。

様々なトラブルに遭っても、常に沈着冷静~的確な行動で危機を脱します。

とても明快なストーリー展開で、当時としては大冒険譚~なのですが、とても安心して読めました(かな?)。

 

まだ19世紀~物語の舞台に明治5年の横浜が登場。

その年は新橋~横浜間に鉄道が通り、また富岡製糸場が操業を始めた年でした。

主人公たちが横浜で巻き起こす一件がありますが、やや未開で不思議な国NIPPONの描写ですね。

その前に訪れたインドもイギリス統治下ではあるが、不穏勢力もはびこるヤバイ国。

香港はアヘンまみれ・・・。

アメリカ大陸横断鉄道でのインディアン襲来描写は、まるでゾンビが襲って来たかのようです。

このようにファンタジーと言ってしまえばそれまでだが、当時の一般常識(イギリスでの)が理解できる面も。

 

・・・そもそも人は、得られるものがもっと少なかったとしても、世界一周の旅に出かけるのではなかろうか。・・・(P.454)