日経紙連載「レッドオーシャンの名画」十選(10)

アンドリース・ボト「貧しい画家のアトリエ」(1634年~35年)

・・・アトリエ経営に成功する画家もいれば、失敗する画家もいる。アンドリース・ボトが「貧しい画家のアトリエ」で描くのは後者の現実だ。(中略)アトリエの主は17世紀オランダの美術市場を賑わす様々な立場の画家のうち、最末端に位置するのだろう。・・・

 

「レッドオーシャンの名画」十選の最後を飾る?のは、レッドオーシャンの底で、雇い主の言うがまま、きわめて安い対価で、短期間に仕上げる量産絵画で糊口をしのぐ画家の一人を描いた絵。

これまで紹介された華やかな美術界を支える裏面です。

これは現代社会でも状況は変わらないかと・・・。

それなのに画題となって、現代にまで受けつがれている絵画のアトリエ主の心境はいかに?。

 

量産された絵画の多くは、やがては打ち捨てられたでしょうし、中には価値を見出され残るものもあったかもしれない。

同じ立ち位置でも「その時」はレッドオーシャンだったが、やがてブルーオーシャンになっていることも。

 

日経紙らしく経済目線で絵画鑑賞する興味深い十選でしたー。

 

・・・絵画の黄金時代と呼ばれるオランダの17世紀。その輝きの裏には、繁栄のしずくの及ばないおびただしい数の画家たちがいたのだ。・・・