「ペスト」 カミュ 宮崎嶺雄/訳

ちょうど3年前の2020年初夏ごろ~新型コロナウイルス禍中に話題となった本書。

ダニエル・デフォー「ペスト」は読んだが本書は手つかずのままでした。

アフターコロナに読むのも意味があるかと~。

 

・・・アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描く・・・。(本書カバー)

 

過去?となった新型コロナウイルス禍の記憶と重ねて読み進めます~が、訳なのか読解力が無いからなのか、とても読みにくいが・・・。(失礼)

第二次世界大戦後間もない、北アフリカのアルジェリア・オランが舞台。

患者に最も接触しているにもかかわらず、主人公(だと思う)のリウーは、感染しないんですね。 (^-^;

治療法が確立していたことと、閉鎖したおかげ?なのか、オラン市のペスト禍は1年程度で終息します。

デフォー版「ペスト」の方が、新型コロナウイルス禍へのリアリティがあったかも?・・・。

 

・・・戦争が勃発すると、人々はいう~「こいつは長くは続かないだろう、あまりにもばかげたことだから」。そしていかにも、戦争というものは確かにあまりにもばかげたことであるが、しかしそのことは、そいつが長続きする妨げにはならない。愚行は常にしつこく続けられるものであり、人々もしょっちゅう自分ことばかり考えてさえいなければ、そのことに気がつくはずである。わが市民諸君は、この点、世間一般と同様であり、みんな自分のことばかりを考えていたわけで、別のいいかたをすれば、彼らは人間中心主義者(ヒューマニスト)であった。つまり、天災などというものを信じなかったのである。天災というものは人間の尺度とは一致しない、したがって天災は非現実的なもの、やがて過ぎ去る悪夢だと考えられる。ところが天災は必ずしも過ぎ去らないし、悪夢から悪夢へ、人間の方が過ぎ去って行くことになり、それも人間中心主義者たちがまず第一にということになるのは、彼らが自分で用心というものをしなかったからである。・・・(P.55~56)

 

戦争と天災(ここでは疫病)への心構え。

残念なことに「ばかげたこと」は、世にはびこっています。

 

・・・ペスト菌は決して死ぬことも消滅することもないものであり、数十年の間、家具や下着類のなかに眠りつつ生存することができ、部屋や穴倉やトランクやハンカチや反故のなかに、しんぼう強く待ち続けていて、そしておそらくはいつか、人間に不幸と教訓をもたらすために、ペストが再びその鼠どもを呼びさまし、どこかの幸福な都市に彼らを死なせに差し向ける日が来るであろうことを。・・・(P.458)

 

今だから読むべき!と思いました。(難解でしたが)