日経紙連載「境界のクリーチャー十選」(7)

ペドロ・リナーレス「アレブリヘ」

・・・メキシコシティ生まれのペドロ・リナーレス(1906年~92年)は、(中略)30歳の頃、熱病にかかり、生死の境で不思議な夢を見た。森の中に異形の幻獣たちが現れ、口々に「アレブリヘ、アレブリヘ・・・」と意味不明な言葉を唱えていたという。快復後もこの百鬼夜行の残像が頭を離れず、ペドロは手慣れた張子細工で形を与えた。こうして、鶏のとさか、コウモリの羽根、爬虫類の体、牛の角、深海魚の顔、蛇の下などが組み合わさった、極彩色のクリーチャーたちが生まれ、アレブリヘと呼ばれるようになった。・・・

 

アニメーションのキャラクターを立体化したようなクリーチャー。

頭部の大きさ手足や胴体の細さは、生物としては成り立たない体のバランスです。

でも、夢の中に現れるのだから何でもあり(クリーチャー自体が自然と生物的にあり得ない~)。

 

・・・メキシコは16世紀にスペイン人の支配を受けて19世紀に独立~経済力を付けてきました。

その後1980年代の経済危機を経て一時復活するも、コロナ禍で再び苦境下にあります。

 

メキシコを代表する民衆芸術のジャンルにまでなった「アレブリヘ」。

再び、良い夢の中に現れますように。