「仏教の大東亜戦争」 鵜飼秀徳

・・・住職の祖父が自分の寺に掲げていた「開戦詔書」。それが仏教と戦争の関わりを問い直す旅の始まりだった。宗門トップが戦争を煽る発言を繰り返し、植民地では次々と寺院が建立された。・・・(本書カバー)

 

著者の「寺院消滅」は以前に読んでいました。

現役の浄土宗住職でもあるので、本書は単なる仏教批判ではありません。

当時は、神道が国家体制に組み込まれ、全ての仏教宗派、キリスト教に至るまで、神道に追従するかのように戦時モード一辺倒だった。

宗教界だけでなく産業もマスコミ~国民も、日本全てが「戦争」に飲み込まれ無批判に熱狂していた時期。

現在、一部の宗教と政治家の結びつきが問題化しているが、以前からもあったようです。

読みながら~宗教とは?不信感も湧いてきました・・・但し、それは平時だから思えることなのかもしれない。

今春に訪れた兵庫大仏も金属供出の憂き目にあっていたのか・・・知っていれば見方が違っていたでしょう。

 

・・・私が仏教界最大のタブーに挑戦したのは、今の寺院や僧侶が「いかにあるべきか」を学んで実践し、社会平和のために寄与していかねばならないと考えたからである。宗教の役割とはつまるところ、「恒久平和の実現」なのだから。・・・(結びにかえて)