「雲上雲下」 朝井まかて

・・・昔、むかしのそのまた昔、深山の草原に、一本の名もなき草がいた。彼のもとに小生意気な子狐が現れ。「草どん」と呼んでお話をせがむ。山姥に、団子ころころ、お経を読む猫、そして龍の子・小太郎。草どんが語る物語はやがて交錯し、雲上と雲下の世界がひずみ始める。・・・(本書カバー)

 

アニメ「まんが日本昔ばなし」のオープニングソング♪がよみがえります。

オープニングに登場する龍の子太郎と、本書の小太郎がクロスオーバー。

 

「むかし、むかし~あるところに・・・」で始まるおとぎ話(昔ばなし)の記憶は、はるか彼方へ・・・。

代々口伝で継承されてきたおとぎ話は、その地方の歴史上の出来事かもしれない。

そして、文字がなかった頃にまで遡る人々の記憶か。

はるか彼方の記憶を引き戻し、ケガレの無い(おそらく)時代に見聞きした「おとぎ話」の世界に浸っていました(何となくやさしい気持ちに・・・)。

 

様々なメディアやネットからあふれ出る有象無象、真偽不明の物語(情報)で満たされまくっている現代社会において、肉声で伝えられる「おとぎ話」は、心の清涼剤のような気がします。

「まんが日本昔ばなし」が放映されなくなってから「おとぎ話」が縁遠くなってしまったし、世の中の変化も大きくなった気がする。

本書が、現代の「おとぎ話」として読み継がれるといいな。

 

卯月なので差し当たっては「花咲じいさん」でも。(^-^)