「花ざかりの森・憂国」 三島由紀夫

・・・16歳の実質的デビュー作「花ざかりの森」、著者の生涯にわたる文学的テーマを内包した「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」等13編。多彩な魅力の自選短編集。・・・(本書カバー)

希代の天才著者ゆえに、16歳の頃に著わしたという作品は~とても難解でよくワカラナイ。

先が思いやられる・・・と思ったが、戦前~戦後間もない頃の、国内エスタブリッシュメント階級の日常が描かれる「遠乗会」が興味深く面白かった(今でも存続しているのでしょうか?)。

願いを成就させるために無言でいくつか橋を渡る「橋づくし」~は、たしか金沢でもそんな風習があったはず(花柳界の願掛け?)。

歌舞伎界を舞台裏から見る「女方」もオモシロイ。

好景気に湧く昭和30年代頃の光景が思い浮かぶ「百万円煎餅」には、社会の歪み~格差社会の発端が垣間見える・・・。

 

・・・かつて私は、「もし、忙しい人が、三島の小説の中から一編だけ、三島のよいところ悪いところすべてを凝縮したエキスのような小説を読みたいと求めたら、『憂国』の一編を読んでもらえばよい」と書いたことがあるが、この気持ちには今も変わりはない。・・・(P.331)

・・・と著者自身が薦める「憂国」は、読みながら自然に姿勢を正していました。

温く温くと暖房の効いた部屋でも、キリッ!と引き締まざるを得ない内容だが、そんな中にも甘美な表現もあり~、とても印象深い作品です。

なんとか~年内に読み終えることができてヨカッタ。

 

さて・・・コロナ禍は、しばらく続きそうですが沈静化の時期は必ずやってきます。

憂国~の気持ちも大事ですが、来るべき時代・未来を見据えて新しい年を迎えたいですね。

本年もムタムタながらも、大晦日を迎えられたことへの感謝を込め、あらためて~ありがとうございました!で、お開きとさせていただきます。(^-^)