「恋するアダム」Machines like me イアン・マーキュアン  村松 潔 訳

・・・独身男のチャーリーは、母親の遺産で最新型アンドロイドを購入した。名はアダム。どんな問題も瞬時に最適解を出すアダムのAI能力を利用して、チャーリーは上階に住む美しい女子学生ミランダと恋仲になる。だが、人に言えない過去を秘めた彼女に、アンドロイドのアダムが恋心を抱きはじめる。AIと人間は愛し合えるのか?自我を持った機械に恋路を邪魔されたチャーリーに、アダムを壊す権利はあるのだろうか?。・・・(本書カバー)

物語の舞台は~フォークランド戦争でアルゼンチンに大敗し、失業率・インフレ・ストライキ・交通渋滞・自殺率・人種差別主義者の事件・麻薬中毒・強盗・こどもの鬱病等々が上昇し社会不安が蔓延して~EC(EUじゃない!)からの離脱も迫っている1982年の英国です。

架空の1982年ながら携帯電話・インターネットはモチロン、クルマの自動運転は普及しているし、精巧な人型アンドロイドが市販されている、現代より進んだ?世の中。

アダムの価格は86,000ポンド~現在だと約1,400万円くらいだが、当時?だと約3,800万円相当・・・。

呼気と舌と歯と口蓋で発声し肌は温かい~ほとんど人間にみえる。

本書表紙はアダム?。

シェイクスピアを諳んじ俳句でミランダへの愛を語り、株取引では短時間で莫大な利益を叩きだすアダムは人間を超越?しています。

そして耐用年数は20年ながら「アダム2世(仮)」に蓄積データやキャラクターは移行可能・・・。

 

完璧な存在・・・その完璧過ぎがゆえに、チャーリーとアダムの確執が拡がり始める。

AIは人間を超える存在となりえるか?人間はそれを受け入れるか・・・そんなワケないです(と思いたい)。

 

・・・でも、どうか忘れないでいただきたいのは、わたしたちがどんな原理に則って動いているかということです。

わたしたちは嘘を理解するようには作られていないのです・・・。ラドヤード・キプリング『機械の秘密』(本書冒頭~)

 

Machines like me(私のような機械)~人と同様にAIも悩むのかもしれない。

 

・・・本書中にもありました~アダムがいればイブがいるわけで・・・イブの物語を読みたい!と思った俗物です。