「民藝とは何か」 柳 宗悦

・・・「民藝」とは、民衆が日常に使う工藝品である。民家、民具、民画を総称して「民藝」と呼ぶ。「民藝品たること」と「美しく作りたること」には、固い結縁があり、質素こそが慕わしい徳である。このように清貧の美を説いた筆者の理念とは?

昭和の初期に創始され、現在にまで受けつがれる「民藝運動」の精髄を知るための格好の入門書。・・・(本書カバー)

 

以前に読んだ「リーチ先生」で「民藝」という言葉を知ります。

それまでは、「民芸品」~お土産として販売されているようなモノ・・・くらいに思っていました。

「民藝~」のタイトルに思わず惹かれて本書を手に~読後2年以上経っても「リーチ先生」効果持続しています。

 

昔から生活の中で使われてきた無銘の器や生活道具、絵画等を収集した日本民藝館の設立と、そのPR書でしょうか?。

・・・作者は一々自己の名を記しません。このことは作者の不浄な野心や慾望を拭い去って、それを無心な清浄なものにしてくれるのです。しかもそれは大勢の人の協力の仕事なのです。これは工藝性質自身が要求することなのです。焼物の例を取れば轆轤(ろくろ)を引く者、削る者、描く者、焼く者、各々持ち場があって、それ等の人達が協力して仕事が完成されるのです。民藝品は個人の所産ではなく、多くの人の協力的所産だということに大きな意義があるのです。将来の美学は、個人で美を産むということより、大勢で協力して美を産むということの方が、もっと大きな理念だということを教えねばならないと思います。個人の名誉よりも全体の名誉をもっと重く見るべきです。・・・(P.130~P.131)

 

「民藝運動」~時代背景(戦前)もあるが、個よりも全体を重んじる傾向です。

個人的には素敵な考え方だと思いますが、現代では全体よりも個が優先されているような・・・。

 

日本民藝館に行って見たくなりました。