「M資金 欲望の地下資産」 藤原 良

・・・「私達のM資金は本物です」「やっぱりあれはあったんですね」 昭和から次々と大企業経営者たちが飲み込まれてきた『M資金詐欺』。令和もなお黒く輝き続ける『幻』の正体を追う。・・・

 

他人の不幸(?)は鴨の味、オモシロそー!・・・自分は、なんて荒んだ心根なんだろう~と思いつつ読んでいました・・・。

 

・・・M資金の頭文字である『M』には諸説ある。一般的には第二次世界大戦終戦直後ポツダム宣言執行による日本の占領政策を実施するべく、東京都千代田区に設置された連合国軍最高司令官司令部(GHQ)最高司令官だったダグラス・マッカーサー元帥の下で。経済科学局の局長を務めたウイリアム・フレデリック・マッカート少将のイニシャルである『M』が由来とされている。(中略)彼は経済科学局長として日本の財閥解体などの経済政策を主導しつつ『旧日本軍の隠し財産』の調査・押収を進めていた。・・・(P.12)

 

実際に『旧日本軍の隠し財産』は存在していたようです。

・・・サンフランシスコ講和条約がアメリカを中心とした連合国諸国と日本国との間で結ばれた際、それまでGHQの経済科学局が調査押収管理していた『旧日本軍の隠し財産』が日本に返還された。返還された隠し財産の総額は、現金や財宝を含めて時価数千億円とも言われた。日銀に保管された隠し財産は、講和後に日本国としての戦後復興の名目でさまざまな資産運用が繰り返された。その結果、今では数千億円から数兆円にも膨れ上がった。資産運用は『大蔵省特殊資産運用委員会』が主導し、今後は日本経済のさらなる発展を目指して、国内の有力企業に対して極秘裏に資金援助をする。・・・

 

高度経済成長期の1969年頃に囁かれるようになった「M資金」の噂。

なんか胡散臭さマックスだが、語り部次第で信じてしまう人物もいた・・・。

昭和の時代なら(昭和に失礼!)そんなことを信じることもあったかもしれないが、ネット上に有象無象が展開する現在で、そんな与太話に引っかかる人物なんかいないだろう?。

でも、令和に入ってからもいらっしゃるんです。

それも有名企業の経営者たち・・・。

理由は様々だが「M資金」話を仲介する語り部(詐欺師)に、何故かまんまと取り込まれてしまう。

本書では、ある方は実名で、ある方はイニシャル文字で掲載されています。

誰だろう?と想像しながら・・・。

最近はメタバースや仮想通貨、コロナウイルス関連に絡む「M資金」があるそうです。

欲望尽きない社会のあだ花。

「自分は大丈夫!」と思っていても、そのあだ花に見入るときがあるかもしれない。

 

・・・本書は、平成から令和にかけて、すでに消えたと思っていた「M資金詐欺」を今も生業としている詐欺師たちの生態、どうしてこんな使い古された手口に人々が引っかかてしまうのか、そしてM資金詐欺がこの世からどうして消え去らないのか、その奇妙なメカニズムを追った記録である。(中略)これが世に出ることで多少なりとも被害根絶の一歩となることを切に願う。・・・