日経紙連載「境界のクリーチャー十選」(6)

虎卣(こゆう)

・・・卣(ゆう)とは、釣手と蓋のある壺の呼称で、祭祀用の液体容れとされる。(中略)後足で直立し、耳をぴんと立て、目を見開き、牙をむいた虎。その頭には、蓋のつまみを兼ねる鹿がちょこんと立つ。釣手の付け根には獏の頭、器を支える3本目の足は龍の尾と思いきや、後ろから見ると象の鼻をした饕餮(とうてつ)という怪物が現れる。体の表面には所狭しと龍、蛇、虎、魚などの獣文も蠢(うごめ)いている。そして、山河の獣たちの要素が凝結したこの虎の前脚に抱えられるように、案外呑気な顔をした人がしがみついている。・・・

 

紀元前11世紀ごろの古代中国の青銅器。

ユーモラスな感じもするが、人が虎に捕らわれ嚙みつかれる直前にも見えます。

祭器だけにどのような意味があるのか・・・恐ろしい意味があるのかも~。

 

本連載最初の「ライオンマン」でも思ったが、古代人の想像力と造形を表現する能力は凄い!と思う。

現代にも認められる存在だから、現存し評価されています。

素材的にも1,000年単位で存続できるモノ。

・・・現代技術の粋を凝らして出来上がったモノで、1,000年以上の長期間存続に耐えられる存在はどれだけあるだろうか?。

ゴミ・・・汚染物質として残っているかも。