「関東大震災」 吉村 昭

・・・大正12年9月1日、午前11時58分、大激震が関東地方を襲った。建物の倒壊、直後に発生した大火災は東京・横浜を包囲し、夥しい死者を出した。さらに、未曾有の天災は人心の混乱を呼び、様々な流言が飛び交って深刻な社会事件を誘発していく・・・。(本書カバー)

 

今年(2023年)は、関東大震災から100年目です。

特に意識したわけではないが、本書を手にしていました。

 

大地震前には予兆があります。

・・・市民は、東京が古くから大地震にしばしば襲われていることを知っていた。その最も鮮明な記憶として残されていたのは、安政二年江戸に大災害を与えた大地震であった。・・・(一、群発地震)

江戸末期から明治にかけて、各地で大地震が発生していた。

時代によって社会インフラ等の違いがあって、そのまま比較出来ないが「関東大震災」の人的被害は最も甚大・・・読みながら、「東日本大震災」の記憶が蘇ります。

本書に描かれた発災後の社会不安の結果も目を覆いたくなる。

沈着冷静・礼儀正しいと言われる「日本人」は何処へ?それほどに過酷な状況だった。

自然災害を無くすことは不可能だが、出来るだけ被害を抑えることは可能です。

しかし、一旦発災したら・・・「東日本大震災」を思い返せば無力感が・・・。

 

そんな過酷な状況下でも、復旧・復興に尽力した人々も描かれています。

時間はかかるが復興へ~関東大震災から、わずか22年後に首都圏は大空襲を受けて灰塵に帰してしまう。

 

現在の首都圏・・・余計な不安がよぎる。