はるか昔に、教科書で見たことあるな~ぐらいしか知らない詩人、草野心平のエッセイを読む。

季節は遡りますが~。

 

~花肴~

ウチの庭と畑から。

色んな花花と若い葉つぱ類を採つてくる。

 

庭梅とボケと連翹。

ライラックと二種類の菫。

春蘭・満天星・ムラサキヤシホ。

アケビの花と葉つぱ。

自称ブルースター。

 

ナズナの白と諸葛菜の薄紫。

牡丹の若葉とバラの新芽。

ツツジの五種類の花花。白山吹。

こごみ・ぜんまい。

タンポポの花と葉つぱ。

ハコベ・ホトケノザ・姫林檎の薄紅(くれなゐ)。

二種のユキノシタ。

カヘデ・錦木・ベニカシハのピンクの葉つぱ。

月桂樹の花の黄色いツブツブ。

それらをテーブルの上に並べた七つの。

白い皿皿に盛り。

 

左手にはコップの冷や酒。

南蛮味噌と醤油と蜂蜜と岩塩(しほ)と二杯酢。

花や葉つぱの夫夫を。

二本の指でつまみとり。

自分の勘や好みで夫夫の味の元を用ひ。

生のまま夫夫の味を味はひ乍ら。

さうしてはまたコップ酒。

そうしてはまたつまみ。

 

ああ爽やかな春の夕暮。

 

花花よ許せ。

葉つぱたちよ許せ。

 

芽吹いたばかりの新しい”生命”を肴にコップ酒。

イタダキマス。

末尾の二行が重く圧し掛かるし、美味だということを強調している。

 

小説の合間に食にまつわる、こんなエッセイ集を読んでいます。

こんな飲み方・・・素敵やな。