「無私の日本人」 磯田道史 著 を読みました。

10年ほど前に話題になった「武士の家計簿」の著者ですね。

加賀藩・猪山家の台所事情を、興味本位で野次馬っぽく読めて面白かった記憶があります。

時代は変われど、仕事上の付き合いや体面を保つにはお金がかかるのでした~。

 

今回のこの本も、歴史上ではマッタク無名の3名、穀田屋十三郎・中根東里・大田垣蓮月について書かれています。

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“痛々しい”、だけでは表現しきれない程の辛苦に遭いながらも、世のため人のために我が身を削り続ける。

その考えは代々受け継がれて、著者が子孫の方を訪ね取材するも、「いえ。昔、先祖が偉いことをしたなどというてはならぬと言われてきたものですから・・・。」と恥ずかしそうにいわれた。

ここで書かれるような、謙虚で強く美しい日本人や篤志家といわれる人たちが、多くいたのだな~。

 

~これからの日本は物の豊かさにおいて、まわりの国々に追い越されていくかもしれない。

だからこそ、この話は(子どもたちに)つたえておきたいと思った。

いきなり大きな話になるが、この十年でお隣の中国は国内総生産が四倍になった。韓国は十数年で日本の一人当たりGDPを追い抜くともいわれている。

その頃に、南海トラフでも動いて、太平洋ベルトに大きな津波被害をうければ、国の借金は国内で消化しきれなくなって、高い利子で他国から資金を借りてこなければならなくなるだろう。

そうなれば、大陸よりも貧しい日本が、室町時代以来、五百年ぶりにふたたび現れる。

そのとき、わたくしたちは、どのようなことどもを子や孫に語り、教えればよいのか。

このときこそ、哲学的なことどもを子どもにきちんと教えなくてはいけない。~

 

この著者のコメントは、決して絵空事ではないかもしれない。

歴史に埋もれていたが、強く美しい日本人の先達に会えて良かった。

 

たしか~「武士の家計簿」の猪山家も、奨学金を出すなどの篤志家であったようですね~。