「芥川賞の謎を解く」 全選評完全読破 鵜飼哲夫

今年の第153回受賞作品、「火花」が大注目の芥川賞。

これから読むつもりです。

でも、そもそも「芥川賞」って?・・・との基本的疑問から読み出す。

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いきなり冒頭に書いてあります。

~正式には芥川龍之介賞という芥川賞は、純文学の無名もしくは新進作家の創作に与えられる新人賞にすぎない。

ゴールではなく、作家としてのスタートの賞である。・・・

・・・吉村昭だけではない。芥川賞に落ちても文学史に残る作家は、戦前の中島敦織田作之助にはじまり村上春樹吉本ばなな等あまたいる。~(P.4)

 

反対に受賞したものの称賛から遠ざかっていく作家も同じくあまたあるという・・・。

 

~賞の80年に亘る歴史と伝統に安住せず、文学としての新しさを作品本位で常に追求してきた選考会の営為が、この賞をさらに大きなものにしてきた。

「新しい文学」が明快に定義できるようなものなら、もはやそれは「新しい文学」とは言えない。~(P.5)

 

最近の受賞作品しか読んでいませんが、ここにあるように素人には難解な「新しい文学」作品もありました。

選考会の全会一致で決まるのではなく、選考委員による〇・△・✕の評価集計の多数決で決まる。

そのため、票が割れたりすると該当作なしや複数受賞ということも。

 

芥川龍之介直木三十五という有名作家の名前を活用して新進の作家を発掘し、「文藝春秋」誌の賑やかしを図った、菊池寛(「文藝春秋」の創刊者)という、「本邦初のプロデューサー」的な構想があって出来た賞なのでした。

 

名前だけは知っている有名な作品がタクサンあります。

「太陽の季節」とか「赤頭巾ちゃん気をつけて」とか・・・読んでみようかな~という気になりました。