日経紙朝刊連載の「迷いの旅籠」は、まだまだ続きそう~。

6月5日(日)掲載360回は「松田屋」という料理屋での場面でした。

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・・・錦鯉の泳ぐ池を囲む御殿造り、客用の座敷が五つある大きな構えで、柱も廊下も磨き抜かれて飴色に光っていた。

おかちたちが通された<錦の間>は、床の間に恵比寿鯛釣りの軸を掛け、赤と黄色の紅葉をまさしく錦のようにたっぷりと活けてあり、違い棚に置かれた青磁の香炉から、ほのかに薫香が漂っていた。・・・

 

読んでいるだけで匂いまでしそうな、その場にいるような臨場感。

 

・・・すっきりとして鼻に残らぬ香りで、それも前菜の利休卵が運ばれてくるころには自然に消えた。

料理の匂いと混ざらないように計ってあるのだろう。・・・

 

ますます、その場にいるような気持になりました。

利休卵の図

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利休卵ってゴマと卵の蒸し料理なんですね~、初めて知りました。

 

・・・膳の始めに番頭が挨拶に来て、本日の料理は<秋日新陽(しゅうじつしんよう)>と申しますと口上を述べた。

秋の日の穏やかな日差しのような味わいながら、新鮮味もふんだんに盛り込まれている。

「秋は、食べ物の新年でございます。新蕎麦、新酒、新米などなど、新しいものが多く出て参りますから」

(中略)

茸と秋鯖の焼き物、里芋の含め煮、茄子の田楽、鴨の船場煮。酒はもちろん菊酒だ。

「冷や奴の時期は過ぎたが、湯豆腐にはまだ早い」

この季節にぴったりのあんかけ豆腐を経て、栗子飯と赤だしに茹でるのではなく蒸籠で蒸した新蕎麦。

一つ一つに驚嘆しながら味わって、しめくくりには梨が供された。・・・

 

読みながらヨダレが・・・。

秋は、まだまだ先ですが待ち遠しい。

現代の「松田屋」は何処だ?、某ガイドブックにある?。