「日本病」長期衰退のダイナミクス 金子 児玉龍彦

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長期化する不況、失業者の増加、年金制度の破綻、少子高齢化の進行・・・。

アベノミクスによって日本経済は「長期衰退」の時代に入り、いまや「日本病」とも呼べる状態に陥っている。(本書カバー)

世が世なら、現政権の経済政策に批判的な本書は発禁処分になりそうです。

しかし、的確な指摘かと思う。

自然治癒が全く期待できない、進行性の重篤な「日本病」に罹っているという。

 

~日本の株式市場は外国人投資家に席巻されている。

「官製相場」が外国人投資家の恰好の餌食になるのは、日銀や年金基金の介入で相場を読んで、つり上げては売る利食いが比較的容易だからである。(中略)

外国人投資家の比重の高まりとともに、外国人株主による日本企業支配が強まっている。

経産省の定義では、外国人の保有比率が三分の一を超えた企業を「外資系企業」と呼ぶが、名だたる大企業が「外資系企業」になっている。

外国人株主が四割を超えている主な「外資系企業」をあげてみると・・・三井住友FG、りそなホールディングス、第一生命、三井不動産、三菱地所、日産自動車、スズキ、コマツ、日立製作所、オムロン、村田製作所、任天堂、オリックス、セコム(一部略)・・・。(P.47)

 

驚愕!当たり前に日本企業だと思っていた大企業ばかり!。

特にショックなのは、東京駅周辺は三菱地所の建物が多いが、それらは日本のモノでは無かったのか・・・。

そして、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)なるところが、2015年の運用実績で5兆円超の損失を出した・・・とのニュースは記憶に新しいが、カモにされていた?。(毎年恒例の損失報道?)

 

暗澹たる気持ちになりそう・・・。

「日本病」に対する処方が巻末に挙げられていますが、即効性はなさそうです。

でも、前を見据えて歩まなければ行けない。