「おれに関する噂」筒井康隆

今から40年以上前の収録作ばかりながらオモシロイ。

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オモシロイ・・・というと作者はこう考えるだろう。

ひとくちにおもしろいと言うが、この人の言っているおもしろいとはどういうものをさしているのだ。

形式がおもしろい小説ということか、それとも内容か文章か。

そもそもおもしろいといって、では、どんなのだとおもしろくないのだ。

おもしろいとおもしろくないとの境界線はどこに引くのだ。

第一、おもしろさは受け手によって異なってくるし、時代によっても違ってくる。

そういう具合に千差万別のおもしろさがあるというのに、この人はなぜこんなに大把みなことを言うのだ。・・・(巻末解説文)

このように、言いまくられる解説に納得し、サラにオモシロイと思うのだが・・・。

 

個人の生活が新聞やTVニュース等のマスコミで報道される、本書タイトルの「おれに関する噂」は、SNS全盛の現代のようです。

本人と他人の夢と現実が入り混じる、幻想的かつ超現実的な「だばだば杉」。

描かれた当時の世相を揶揄したと思われる「幸福の限界」・「YAH!」・「通いの軍隊」は、かなりブラックです。

読みながら季節外れのヒヤヒヤを感じたミステリー調「熊の木本線」・「講演旅行」の怖さ、等々・・・。

いずれの作品も毒や批判、ナンセンスにあふれています。

 

月日が経っていても、オモシロイ?ものはオモシロイ。