『報恩講』金子みすゞ

 

「お番」の晩は雪のころ、

雪はなくても暗のころ。

くらい夜みちをお寺へつけば、

とても大きな蝋燭と、

とてもおおきなお火鉢で、

明るい、明るい、あたたかい。

 

大人はしっとりお話で、

子どもは騒いじゃ叱られる。

 

だけど、明るくにぎやかで、

友だちゃみんなよっていて、

なにかしないじゃいられない。

 

更けてお家へかえっても、

なにかうれしい、ねられない。

 

「お番」の晩は夜なかでも、

からころ足駄の音がする。

 

実家のほんこさん(報恩講)でした。

火鉢の炭がはぜる音と匂い、半紙に乗ったお茶菓子、雪景色の中で行われていた記憶は遥か彼方・・・比較的、暖かい日なので助かります。

いつまでも変わらない、これからも伝えて行きたい金沢(北陸)の師走風景・・・。(長時間正座の辛さも。)