「困難な成熟」内田樹

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内田節が大炸裂。

・・・「責任を取る」ということはどういうことでしょうか。ニュースを眺めていると、テレビでもネットでも、不祥事を起こした企業や個人に対する「責任を取れ」という言葉が溢れています。しかし、人の死にかかわることや、原発事故など、個人のレベルをはるかに超えた問題について、人はどう責任を取ればいいのでしょうか。

答え、「不可能です」以上。おしまい。(P.16)

・・・まことに逆説的なことですが、私たちが「責任」という言葉を口にするのは、「責任を取る」ことを求められるような事態に決して陥ってはならないという予防的な文脈においてだということです。それ以外に「責任」という言葉の生産的な使用法はありません。

さっき言ったように「責任取れよな」という言葉は、「おまえには永遠に責任を取ることができない」という呪いの言葉です。「これこれの償いをなしたら許されるであろう」と言っているわけではありません。(P.22)

 

業務上、「責任」という言葉が飛び交っています。

それは、とても重い言葉。

しかし、どちらかと言えば、”責任回避的”に使われるような気がする。

「あ、それはオレが責任を持つよ」という言葉を言えるのは、とても勇気のいることです。

他人事ではない、自分の仕事であるという自覚。

それが責任者です。

 

巻末で紹介されていた、日本人の必読書七選に挑んでみますか。

「断腸亭日乗」永井荷風

「夢酔独言」勝小吉

「氷川清話」勝海舟

「瘦我慢の説」福沢諭吉

「兆民先生」幸徳秋水

「父・こんなこと」幸田文

「戦艦大和ノ最後」吉田満