「ふるさとの生活」宮本常一

・・・著者は若き日の小学教師の経験を通し、ふるさとに関する知識や理解を深めることが子どもの人間形成にとっていかに大切であるかを生涯にわたって主張した。本書は日本人の生活の歴史を子どもたちに伝えるため、戦中戦後の約十年間、日本各地を歩きながら村の成り立ちや暮らし、古い習俗や子どもを中心とした年中行事等を丹念に掘りおこして、これを詳細にまとめた貴重な記録である。・・・(本書カバー裏面)

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昭和25年(1950年)に出版された小中学生向けの復刻版です。

 

山奥の辺ぴなところにも、かつて集落があった。

雪深い山中にも人は住んでいた。

なぜ、誰も住まなくなったのか

そもそも、そんな不便なところに住む必要があったのか。

洪水・山崩れ・津波が原因で「ほろびた村」も各地にあった。

そして、飢饉で「ほろびた村」も・・・。

第一章は、「ほろびた村」から始まるのですが、冒頭から小学生には衝撃的なのではないか?と思ったり。

・・・歴史は書かれている書物のなかだけにあるにではなく、このような、ほろびた村のあとにも、また私たちのくらしのなかにもひそんでいます。そして、そういうものがあきらかになってこそ、日本人はほんとにどんな生き方をしてきたかがあきらかになると思います。・・・(P.32)

 

かつては「休みの日」にも意味があった。

身体の骨休みもあるが、神の祭りの日が休みであり、神さまに対して、つつしみを持たねばならぬ時は働かなったようです。

微かに記憶に残る風習(年末~正月風景中心だが)をみて、なつかしさを感じます。

行楽や飲食に明け暮れる?だけの現在の過ごし方を考え直すことも、チョッと必要かもしれないなぁ。

 

・・・村を、今日のようにするためにかたむけた先祖の努力は、たいへんなものであったと思います。その努力のなかにこそ、のこる歴史があったのでした。私たちは、いつでもその人たちの前進しつづけた足おとがきけるような耳と、その姿の見えるような目を持ちたいものです。・・・(P.224)

 

現在の生活は、将来的に「民俗学」という視線で見ることが出来るのだろうか?。