「経済の不都合な話」ルディー和子

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・・・経済やビジネスをめぐる議論が現実離れするのは、偽善や机上の空論による「お約束」に支配されているからだ。会社存続の動機は「経営者のエゴ」、顧客なんて「不実な愛人」、「日銀の約束」を誰も信用しない理由・・・感情が理性より優位に立つ時代、人間の本性に基づいて展開する、少し言い出しにくい世の中の真実。(本書カバー)・・・

 

著者名がウサンクサイなー(失礼!)と思いつつ読みだす~。

なかなか本質を突いているのではないでしょうか。

 

・・・変化の時代と言われるように、経済やビジネスの世界でも、これまで「常識」とされてきたことが次々に覆されている。

たとえば、経営者なら胆に銘ずべきとされた「企業の目的は顧客を創造することだ」というドラッカーの金言はもはや通用しない。富士フイルムはアナログ写真フィルムの購買者が激減し、新しい顧客を求めて新市場を開拓せざるを得なくなった。ネットの世界に住む企業は有形固定資産が少ない分、変身も比較的簡単だ。既存市場での競争を避けて事業内容を大幅に変える例は多くみられる。

創造した既存顧客を捨て(あるいは顧客が消滅したために、やむを得ず)、新しい顧客を対象に新しい事業を始める企業はもう珍しくない。

だが、顧客を捨て、既存市場から撤退してまで会社は生存し続けなくてはいけないのか。会社が存在し続けなくてはいけない正当な理由などあるのだろうか。・・・(まえがき)

 

ドラッカーやノーベル経済学賞、話題のAIも滅多切りです。

モチロン?東芝やシャープといった数々の大企業も。

 

読みながら納得している自分がいましたが、内容にご立腹で批判的な読者も多数いらっしゃると思います。

経営者、経済学者~は、エラそうなこと言いながらも・・・当たり前に「人間」なのでした。

 

・・・人間は不安なときには選択(意思決定)ができない。迷って選択できないからよけい不安になる。不安は恐怖の変形で、自分に危機が迫っていることはわかっているが、自分の身を守るために何をしたらよいのか、選択肢を提案されてもこれといった決定打がない。どれを選んでも安心は得られないような気がする。迷って選択できないから不安感は増大する。

選択ができないということは行動が起こせないということだ。だから内向きになる。消費者は、かつて「巣ごもり消費」と命名されたように巣にこもる。外食しないで家で内食する。企業経営者も、積極的投資を先延ばしして、その時のために内部留保を増やす。そして、国家を運営する政権の長は自国ファーストを主張するようになる。(P.81)・・・