ブログ
東京都同情塔
2024年2月27日 ブログ
第百七十回芥川賞受賞作 「東京都同情塔」 九段理江
・・・バベルの塔の再現。シンパシータワートーキョーの建設は、やがて我々の言葉を乱し、世界をばらばらにする。ただしこの混乱は、建築技術の進歩によって傲慢になった人間が天に近付こうとして、神の怒りに触れたせいじゃない。各々の勝手な感性で言葉を濫用し、捏造し、拡大し、排除した、その当然の帰結として、互いの言っていることがわからなくなる。喋った先から言葉はすべて、他人には理解不能な独り言になる。独り言が世界を席巻する。大独り言時代の到来。・・・
生成AIを使った作品ということも話題になった作品で、作中でもAI-built(生成AI)が答える場面もあります。
物語は、ザハ・ハディドによる新国立競技場が建設された近未来の東京が舞台。
犯罪者を「ホモ・ミゼラビリス(同情されるべき人々)」と呼び、彼らを収容する施設「シンパシータワートーキョー」が新国立競技場の近くに建設される。
作中のタワーは70階建にもなり、のっぺり?とした新国立競技場とはアンバランスのような気もするが、どうなのでしょう。
都心の一等地に抜群な居住環境のタワマン刑務所を建てる!という発想はスゴイが、当然に建設反対運動も過酷だった。(そりゃそうだ)
ザハ・ハディドの新国立競技場もぶっ飛んでいた?から、そんなに大差ないか。
冒頭部分にあるようにSNS上では「言葉」が乱れ飛び~真意がわからなくなる(フェイクニュース等)。
行き過ぎたコミュニケーションが社会を混乱へ導く可能性~バベルの塔の再現。
単なるテキストなのか、音声で伝わることなのか~言の葉~木々の葉が擦れる音も意味を持つこともある。(日本的感覚)
AI作成の文章をどう読み取るのか?、読み手が試される時代なんでしょう。
・・・言葉は、他者と自分を幸福にするためにのみ、使用しなければなりません。他者も自分も幸福にしない言葉は、すべて忘れなければなりません。・・・(シンパシータワートーキョーのルール)
「東京都同情塔(トーキョート・ドージョートー)」を、設計した牧名沙羅(サラ・マキナ Sara・Machina)は、AIの化身だったのかもしれない。
東照神君遺訓
2024年2月24日 ブログ
名将名言録 一日一言 2月24日
人の一生は、重き荷を負うて遠き路を行くが如し、急ぐべからず。 徳川家康「東照神君遺訓」
不自由を常と思えば不足なく、心に望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
勝つ事ばかりを知りて負くる事を知らざれば、害その身に至る。
己を責めて、人を責むるな。
及ばざるは、過ぎたるより優れり。
3年前も取り上げています。
昨年の大河ドラマ「どうする家康」のいくつもの場面を思い出しました。
実は、家康の名言は後世につくられたものが多いらしい。(他の戦国大名もそうかも~)
また、家康だからそれが出来たのであって、誰にでも出来るものではない~という見方もある。
でも、名言を見ながら「家康」同様のことが出来る~と錯覚?している時もあるかも・・・。
ファッション?雑感
2024年2月22日 ブログ
春物ファッション~衣料販売は、これからピークを迎えます・・・おそらく現在もそうだと思う。
カジュアル化?でスーツ需要が減っているようですが。
ネクタイ着用機会も減っている。
襟のないシャツ(Tシャツ等)にジャケット~といった着こなしをよく見かけますが、個人的にはNG。
自分には似合わない!に加えて、ジャケットの首回りが汚れてしまうことが気になってしょうがない。
ジャケットは、シーズンごとにしかクリーニングしないために、そう思っています。
頻繁に洗うと衣類の傷みが気になりますしね。
ジャケット着るのは、よそ行き感覚~のまだまだ昭和~平成初期世代でした。
イラク水滸伝
2024年2月21日 ブログ
「イラク水滸伝」 高野秀行
・・・中国四大奇書『水滸伝』は、腐敗と悪政がはびこる宋代(十~十三世紀)に、町を追われて住めなくなった豪傑(好漢)たちが普通の人が近づけない湿地帯の中に続々と集まり、政府軍と戦う物語だ。世界史上には、このようなレジスタンス的な、あるいはアナーキー的な湿地帯がいくつも存在する。水滸伝自体、山東省の湿地帯に実在した盗賊集団をモデルにしているというし、他にも、ベトナム戦争時のメコンデルタ、イタリアのベニス、ルーマニアのドナウデルタなどがある。(・・・)イラクの湿地帯はその中でも最古である。なにしろ、至近距離で人類最初の文明が(メソポタミア文明)誕生しているのだ。文明が誕生したとほぼ同時に、文明(国家的な権力)から逃れるアジール(避難所)が出現したのかもしれない。「元祖・梁山泊」といってもいい。イラクではそれがつい最近、一九九〇年代まで続いた。反フセイン勢力が湿地帯に逃げ込んで抵抗していたらしい。・・・(はじめに)
昨年9月頃から積読(熟成)・・・してあり、ようやく読めました。
著者は「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」をポリシーとするノンフィクション作家です。
アフワール(湿地帯)をタラーデ(伝統的な船)に乗り巡りたい!と、2017年からコロナ禍を挟み2022年にかけて、相棒の山田隊長と共にイラクへ。
2024年2月現在も、ほぼ全土にレベル4・退避勧告、レベル3・渡航中止勧告が発令中で、危険な場所であるのは変わらないようですが、なんだか楽しそうな気もします。(慣れている?ベテランだからでしょうけど)
いまだにアメリカと日本がイラクを避けて?いるようだが、他のヨーロッパ・中東湾岸諸国・中国・韓国はどんどん企業進出しているらしい。
とは言ってもまだまだ政情不安であり、環境変化で湿地帯が減っているイラク国内だが、メソポタミアの時代から、その民はたくましく、したたかなです。
そして、度々登場する美味しい?らしい「マスグーフ(鯉の円盤焼き)」に注目・・・食べる機会はあるか?。
・・・「湿地帯の将来は暗い。でも今日は楽しもう!!」 今を楽しく生きる。やれることをやる。それが水滸伝の好漢たちの心意気だ。・・・(あとがき)
リボルバー
2024年2月19日 ブログ
「リボルバー」 原田マハ
・・・パリのオークション会社に勤務する高遠冴の元にある日、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれた。それはフィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという。だが持ち主は得体の知れない女性。なぜ彼女の元に?リボルバーの真贋は?調べを進めるうち、冴はゴッホとゴーギャンの知られざる真実に迫っていく。・・・(本書カバー)
本書のベース?になった事実として、ゴッホが自殺に使ったとされるリボルバーは、2019年6月19日、パリの競売会社オークション・アートによって競売にかけられ、約16万ユーロ(約2千万円)で落札された~といいます。
本書では・・・ネタバレなので。(真贋含め・・・)
ハラハラ、ドキドキ~は、無かったが、作中に登場するゴッホとゴーギャンの絵画をネットで検索しながら読み進めます。
タイトルと絵画が一致したり、マッタク知らなかった絵画に触れることができました。
同時にオルセー美術館やパリの街並みを歩き回っているようなツーリズム錯覚も。
やや話が出木杉?の気もしましたが、名画に触れることで心が豊かになったような気がします。
叶うならばモニター越しではなくて本物を見てみたい!。
○○○時点で~
2024年2月16日 ブログ
ブッダ教え一日一言~2月16日 怒った時点で敗北宣言
・・・怒るのはカッコわるいことです。理由はどうあれ、怒るのは敗者です。だれひとり、この人生で負けたくないのです。何事も勝利をおさめて進みたければ、いかなる場合にも、怒らないことです。怒った時点で、その戦いは自分で敗北宣言をしたことになります。・・・
久しぶりに開いた「ブッダの教え一日一言」に、このようにありました。
ウ~ンここまで達観?できません。
本書をタマに見ていますが、高尚過ぎて?理解できないことが多い・・・でも開いて見てしまう。
今回もそんな内容でした。
どう読むか?理解するか?。
混乱は増える一方・・・結論ではなくて、ずっと考えなさい~ということか。
大人が歌えば子供が笛吹く
2024年2月14日 ブログ
2月9日の日経紙朝刊「寓意画をよむ」十選(6)
ヤン・ステーン「大人が歌えば子供が笛吹く」
・・・老夫婦、中年夫婦、若夫婦とその子供など、4世代にわたる楽しげな家族団欒図と見える。右の少年にパイプを吸わせている男はステーン自身、左端でワイン・グラスを手にどっかり腰を下ろした女性は彼の妻、他にも自分の家族をモデルにしたと伝えられている。・・・
子供は大人の真似をする~飲酒や喫煙を伴うどんちゃん騒ぎ?も次世代に継承される。
どんちゃん騒ぎは悪いことではなくて、たくましく陽気で機知(ウィット)に富んだ人々の姿が描かれているようです。
教訓めいた寓意画かと思っていたが、日々を楽しむことは大事!ということか。
ボランティア(一応)
2024年2月13日 ブログ
金沢市泉本町倉庫内で、災害救援物資仕分け作業ボランティア活動。
と言っても午前中だけなんですが・・・。
微力でも何かしら出来ることを~の気持ちばかり。
現在は、大型トラックでの物資受け入れは金沢港の施設に移り、本倉庫では中型トラック~市民からの物資受入れが主体のようです。
モチロン受入ればかりではなく、ここから物資を積み込んで被災地や避難所へ向かう車輌も。
金沢市の担当者さんも、毎日、同様の説明ばかりでお疲れでしょう。
本来の業務もあるのにもかかわらず。
物資の中継地よりも避難所現地の方が置き場所、仕分け方、ダンボール箱等の廃棄物の処理で大変かと。
行政の担当者や現地ボランティアをされる方には頭が下がります。
泉本町倉庫~本来は穀物の備蓄倉庫だったようで貨物列車用のレール跡が残る、ある意味歴史的建造物です。
このような機会でないと立ち入ることはなかった。(イイ・ワルイは、別にして・・・。)