文学おぢさん
またまた近代文学を読む~。
「小さき者へ」 有島武郎
~小さき者よ。不幸なそして同時に幸福なお前たちの父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。
前途は遠い。そして暗い。しかし恐れてはならぬ。恐れない者の前に道は開ける。
行け。勇んで。小さき者よ。~
たった一人のママを失ってしまった・・・と、しんみり・・・する書き出しながら、残された子どもたちへの深く力強い愛情が語られます。
子どもたちだけではなく大人でも、小説最後の文章には、とても勇気付けられるのでした。
“ 私 ” から ” 君 ” に語りかける、「生まれ出ずる悩み」。
大正期における北海道漁業の過酷さが、アクション映画さながらの臨場感で描かれています。
読みながら、冬の凄まじい嵐の中で必死に操船する場に居合わせている感覚~。
雪と波しぶきを被る!じっとりと水を含んで冷たく・重たくなった衣服のために自由に身動きが取れない!。
「死にはしないぞ」~この言葉で、どんなに過酷な状況でも、生への執念が湧き出てくる。
海上だけではなく、陸上でもツラいことはある・・・。
どんよりとした暗~い風景ばかりだが、” 君 ” が山々をスケッチしている場面だけは、光の春が感じられます。
「小さき者へ」と同様に最後には、勇気付けられる作品。
永く読み継がれる作品というのは、ココロに訴えかけるような印象深いモノなのですね~。
大いに感じ入る部分がありました。でも、ホントは学生時代に読んだ方が良かったんだよな~。