物騒な超訳

佐藤 優氏が自身の新聞コラムで、紹介していた「超訳 小説 日米戦争」 訳著 佐藤 優 を読みました。

 

原作は、大正9年(1920年)に発表された 樋口麗陽作 「小説 日米戦争未来記」という空想小説で、当時はかなり話題になったようです。

~西暦一千九百年代末期、日米戦争が愈々(いよいよ)勃発。

開戦まもなく、日本の主力艦隊は米軍により全滅さる。

絶体絶命の祖国を救わんと、日本の石仏博士は艱難辛苦の研究により、

電波利用空中魚雷、空中魚雷防禦機、空中軍艦の三大新兵器を発明。

だが、しかし、米国艦隊の本土急襲には間に合わない!。~

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小説部と解説に大きく分かれている本です。

小説部はテンポが良すぎて?話の進みは速く、読んでいて疲れます・・・。

出来事をほぼ時系列に沿って説明していく内容です。

 

第一次大戦終了後、大きな戦争は無く20世紀も終わり近くになって日米戦争が勃発。

地政学でいうと日米とも海洋国家であり太平洋を挟む両国は、いずれは衝突する運命にあった・・・。

アメリカは敵を作り出さずにはいられない国で、デモクラシーの宣伝、正義・人道主義を看板として世界の国々をあざむき、その実、アメリカ一流の資本による侵略、経済的支配をもって世界を思うように操り、新興国・日本の鼻の先をへし折るか、抑えこんでアジア大陸の経済的利権を手に入れて、世界の資本的盟主、経済的専制君主になることを目的にしている・・・。

アメリカは極悪非道国として描かれています。

現代のこと?~超訳なんで、訳者の意見がかなり入っているかもしれない。

また、日本陣営VSアメリカ陣営の対立軸は、後年の同盟関係をほぼ予想しているし、1920年の時点で科学(兵器)技術も含めてなかなか鋭い予想がされている。

電波利用空中魚雷って巡航ミサイルのこと?。

 

大正時代のSF小説としても面白いし、解説で国際政治の一面を知ることも出来る、興味深い一冊でした。

佐藤 優氏のインテリジェンス論についつい引き込まれてしまいます。