白犬の眉書れたる日永哉(一茶)
犬のはなし~古犬どら犬悪たれ犬 出久根達郎=選 日本ペンクラブ=編 を読みました。
表紙のスリッパを咥えたイヌの姿に惹かれたのです。
小説家・詩人・随筆家・児童文学作家・翻訳家・大学教授が著した短編集。
どの作品も犬をテーマにして、犬への愛情・慈しみ溢れるモノばかりです。
とても読み易く、犬がマスマス愛おしくなりました。
犬好きにはタマラナイのでは・・・。
「犬」 鈴木三重吉 では、船が難破してしまい、大の犬嫌いの主人公が大型犬ガリヴァーと漂流し助け出されるまでのドラマにハラハラ・・・。
「氷原を走る犬ぞり」 波多野完治 では、極寒のアラスカ大地を決死の覚悟で進む犬ぞりと御者にドキドキ・・・。
ストーリーは至ってシンプルなので結末は想像できます。
それだけに作中の登場人物や犬の心理描写がストレートに伝わってきて、とても印象深いのです。
巻末の解説にもありましたが、一般的に犬がペットとして飼われるようになったのは戦後期から。
それまでは、どちらかというと危険な存在で軍事や狩猟用で飼われていた。
つい近年までも、野良犬がウロウロしていた記憶があります。
また、戦時中は、お国のために「供出」させられたことも。
解説の最後に胸が詰まるな~。
「人間と犬が一緒に過ごす歳月は、しあわせを互いに半分ずつ共有しあう時間なのである。」